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スポーツライター小宮良之の「フットボールビジネス・インサイドリポート」第4回

グループリーグ突破の五輪代表に吹く追い風を分析

文=小宮良之

 その結果、「走り勝った」とスペイン戦を評する意見もある。しかし、日本の選手は闇雲に走り続けたわけではない。

 永井がCB、大津が右SB、東がアンカー、清武が左SBを忠実に封じる一方、後ろの守りは砦のように聳えていた。吉田を中心にしたバックラインは、決してラインを下げすぎず、かといって上げすぎることもなかった。丁寧に綻びを修正しながら、陣を動かさず守り続けた。多少戦力が非力であろうとも、選手が空隙を消して小さくまとまれば相手の圧力に耐えられる。

 攻められる恐怖に耐え、陣を崩さずに守り抜くことで、日本は活路を開いた。

 第2戦のモロッコ戦では、その守備の安定がより顕著に見えたと言える。前半の日本は選手の足取りが重かった。スペイン戦でアドレナリンが大量に出たためか。モロッコがラフな縦パスを入れてきたこともあるが、プレスは思うように嵌らなかった。しかし日本の選手たちは焦ることなく、粘り強く戦い続けた。実際、ペナルティエリアまで侵入を許さず、0-0のままで推移した。

 そして後半に入ると、選手が動きの精彩を取り戻し、とりわけボランチの山口は常に危険なスペースを埋め、味方のサポートに努め、機を見てインターセプトから前線に攻め上がった。終盤には前がかりになったモロッコの裏を取った永井が、GKの頭を抜くループシュートで決勝点を決めた。

 ただ、何より日本は勢いを得ていた。

「強敵スペインを倒した」という自負が、選手たちの心にゆとりを与えたのだろう。フットボールは兵法や軍学にもたとえられるが、勢いを得た一軍は通常では考えられない強さを発揮する。

 日本は過去、モロッコのように身体能力を前面に押し出して対人プレーを挑んでくるアフリカ勢を苦手としてきた。そうしたチームを堂々と退けることができたのは、勢いを=風を味方にしたからだろう。勝利を重ねる若いチームは、今も予測不可能な成長を続けている。これが真剣勝負の面白さであり、醍醐味だ。

 1日のホンジュラス戦は、サブメンバーを数多く起用した1軍半の陣容ながら、0-0で引き分けた。2勝1分けでグループ首位通過が決定。決勝トーナメントの相手はエジプトだ。間違いなく、日本に風は吹いている。
(文=小宮良之)

小宮良之

小宮良之

1972年、横浜市生まれ。大学卒業後、スペインのバルセロナに渡り、語学力を駆使してスポーツライターとして活動。EURO、冬季五輪、W杯などを取材後、2006年から日本に拠点を移し、人物ルポ中心の執筆活動を展開する。『アンチ・ドロップアウト』『フットボール・ラブ』(共に集英社)、『名将への挑戦状』(東邦出版)、『ロスタイムに奇跡を』『導かれし者』(共に角川文庫)、『ザックJAPANはスペインを倒せるか?』(白夜書房)など著書多数。最新刊は海外移籍した日本人の戦いを検証した『サッカー「海外組」の値打ち』(中公新書ラクレ)。

Twitter:@estadi14

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