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知ってるようで知らない 薬局の歩き方 クスリの選び方 第1回

絶対ゴキブリを出さない害虫駆除…キンチョールだけでは全然ダメ! 

文=へるどくたークラレ
post_537.jpg人類にとって身近な武器かも。

 オイーッス! みっなさーん 科学してますかーっ!? 増税に負けて血尿だしてませんかーっ?

 はい!  というわけで今回から、このビジネスジャーナルの場を借りて、みなさんの身の回りにある“薬”についての話をさせていただくことになりました、血まみれサイエンスライター・へるどくたークラレと申します。「誰だてめえ……?」という人は適当にwikiでもご参考ください。と、適当な自己紹介はさておき、まずはこの連載の趣旨をば……。

 頭が痛い時、せきがひどいとき、鼻炎が辛いとき……薬局で薬を買いますよね? どれも効きそうなパッケージで、結果どれでも同じに見える。こうした薬や栄養ドリンクなんかって、なんとなーく選んでいませんか? この連載では毎回テーマごとに薬局売りの商品を精査し、パフォーマンスに優れたものを勝手に選び、うっかり値段だけのクソ商品を買ってしまわないように皆々様にお役立ていただこうという、不埒な理系書の作者にあるまじきマトモな情報をお届けしてしまうという趣旨でございまして、さっそく第1回のテーマ「害虫駆除」でございます。

 さて、夏といえば薄着、薄着で困るのは……そう、害虫、特に蚊のシーズンですね。そして台所には黒光りする“G”が……というわけで今回は、「蚊とゴキブリに対して駆除グッズ、何を買えばいいの?」で参ろうと思います。

 殺虫剤なんてどれも一緒だって?

 ま、確かにどの殺虫剤でも一発で虫は死にますが、最近の殺虫剤は殺すだけではなく、その後のバリア効果や、パニック誘発効果やさまざまな特殊効果を持ったものが数多くあります。さらに殺虫だじけではなく、家に入れさせないという対処法もじわじわと浸透しつつあります。その辺も交えて、害虫対策、本気でやってみませんか?

 薬局やドラッグストアに売っている害虫対策コーナーにはおおまかに分けて、3つのジャンルが置いてあります。

 1つは殺虫剤、直接的に殺すための薬剤です、『ゴキジェット』(アース)のようなスプレータイプの直接殺すものから、『バルサン』(ライオン株式会社)のように燻煙型のものを設置して、部屋ごと、家ごと殺虫するものなどさまざまです。使い方はわかりやすく簡単です。

 2つめはトラップ系。ホイホイ誘因させたりするものや、毒の入ったエサなど多彩です。代表的な『ゴキブリホイホイ』(アース)や『コンバット』(大日本除虫菊)などですね。使い方に関しては、殺虫剤よりはコツがいります。ちなみに害虫駆除の世界において、毒餌のことをベイト剤と呼びます、覚えておきましょう。

 そして3つめが最近流行りの忌避剤(きひざい)と言われるもの。忌避剤とは読んで字のごとく虫を近寄らせないことを目的とした害虫対策で、ここ1〜2年このジャンルの成長が著しく、良い商品がたくさん登場しています。例えば、『虫こないアース』(アース)『虫こないアース 玄関・外灯用』(アース)『ゴキブリがいなくなるスプレー』(キンチョー)『ヤブ蚊バリア』(カダン)『虫コロリアース 虫除けチョーク』(アース)『バポナ殺虫プレート』(アース)などなど、沢山発売されています。

 これらはそれぞれ強力ですが、その性能を生かすには最も使い方を知っておかなければいけないもの。殺虫剤やベイト剤などのトラップを駆使して初めて真価を得られるというものなのです。

 この3種を駆使し、この夏、ちょっと本格的に害虫駆除してみましょう!

ホイホイだけでは守りきれない! 本気の害虫対策

 攻めと守りが害虫対策の根本です。つい数年前まで「守り」の要である忌避剤があまり一般売りされていなかったのもあり、まだまだ根付いていませんが害虫対策において攻めと同時に守ることは攻め以上に重要です。攻めて守って、さらに守りを強固にする、この三段構えで対策すれば、どんな虫まみれの家も一発でクリーンになります。

 さてさて能書きはこれくらいにして、早速ナニを買ってどう使えば良いのか話を進めていきましょう。

攻めの要

 まずは部屋に隠れた害虫を一掃しなくてはいけません。一週間に一匹の頻度で見る場合、間違いなく住み着いている状態です。スプレータイプの殺虫剤はあくまで保険。まずは部屋ごと、家ごとに巣くう害虫の殺虫が基本となります。

 商品はどれも概ね似たり寄ったり。ほとんどがピレスロイド系(昆虫などに効く神経毒)、またはピレスロイドと同様の成分を合成した殺虫剤になり、命中さえすれば殆どの害虫は死にます。都心部では何種類かの薬剤に耐性を持つゴキブリなども見つかっていますが、殺虫剤自体が複合剤となっており、一枚上手です。

 燻煙剤(例:バルサン)は田舎などでは良いのですが、都心部では火事と間違われたり、近隣の家に飛散したりと迷惑になることがあるので、足踏みスタートの据え置きミストタイプの商品(例:アースレッドWなど)を、ドアにガムテで目張りをして使うと良いでしょう。そのほか細かい注意などは、各自説明書をよく読んで……というところですが、だいたい適当に使っても問題なく安全です。説明書に書いていない注意としては、ピレスロイドにせよピレスロイド様にせよ、ほ乳類に対する毒性はハイハイする赤ん坊がいても気にしなくて良いレベルですが、熱帯魚やカブトムシなどを飼育している場合間違いなく巻沿いを食らいますので、別の部屋に移動した上で換気をしっかりしてから戻しましょう。<

守りの要

 駆虫をしたらあとは、外から新たに供給させないことが大事です。そこで忌避剤が役に立つのですが、人間の考える進入路と昆虫から見える進入路はまったく別次元です。使用薬剤も場所に応じて使い分けが必要なので詳しくいきましょう。

 基本は「◯◯に虫こな〜い」などという商品名のスプレータイプの忌避剤をメインに使います。成分はプロフルトリンやシフルトリンといったピレスロイド系の中で、蒸気圧がびっくりするほど低い(蒸発しにくい)成分がシリコンオイルなどに溶かされた状態で入っています。これらを窓に噴霧するのですが網戸に噴霧するより、窓の周りと網戸と窓のスキマ、玄関ドアの上下、換気扇、通風口、あらゆる害虫の通り道になりそうな部分に噴霧しておきます。理想は一度乾燥させた上で2〜3度重ね塗りをしておくと、1〜2カ月はバリア効果を期待できます。

 ただし、大雨などの直撃をくらうとあっさり流れてしまうので、雨上がりなどは軽く噴霧してから窓を開放するように窓横に置いておくと安心です。最近はヤブ蚊用に特化したものや虫除けチョークというものもあり、チョークはまさに害虫結界です。さらに近隣に害虫の発生源がある場合、虫コロリアースのような粉末剤を地面にどっさりまいておくことで、かなりの進入ルートを雨が降ったとしても長期間破壊することが出来ます。
 

守りの砦

 攻めと守りをしっかりすれば万全……と言いたいところですが、虫の卵には多くの殺虫剤が効果不足です。そこで孵化した幼虫を狙い撃ちで撃滅するために、ここで初めて毒餌ことベイト剤の出番となります。

 ベイト剤は、ヒドラメチルノンやフィプロニルやジノテフランといった1〜3日で致死効果を持つもの、ホウ酸のように一週間程度毒性が出るまでかかるものなどさまざまです。ヒドラメチルノンは昆虫のATP合成自体を阻害し根底から殺しにかかる成分、フィプロニルは神経に作用し異常興奮させて破壊し致死させます。ジノテフランは神経を麻痺させ生命活動に必要な臓器を止めます。ホウ酸は脱水を起こさせます。

 これらのベイト剤を使うコツは裏面を見て、成分が違うものを最低3種類購入し、説明書にある設置の3〜10倍を目安に設置することです。特に台所だけでなく、家中にくまなく設置することが要で、本棚の裏、引き出しの中、押し入れの奥、ありとあらゆるスキマとカドに設置していきます。

 ちなみにトラップの元祖のような粘着トラップは……、実はあまり使い物になりません。むしろ粘着トラップは現在どれだけの害虫が家にいるのか? という指標に使うべきもので、駆除に使う時代ではもはやないと言えます。あくまでベイトの補助や成虫の駆除に保険で使うのが正解です。

 ここまで徹底してやって初めて完全駆除が完成します。オススメは梅雨時に入る前のシーズン、成虫が少なくベイトが最大限仕事します。

 ……いかがだったでしょう? 殺虫剤と一言で言えどもなかなか奥の深い世界。

 そのうちホームセンターの農薬コーナーの殺虫剤他、IGR剤などをホームユースに転用するハードコア害虫撃滅編もやりたく思います。 え? もうお腹いっぱい? ソウデスカ……。

 それではまた次回!
(文=へるどくたークラレ

へるどくたークラレ

へるどくたークラレ

覆面の不良科学屋。添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、『アリエナイ理科ノ教科書』の著者、SFやミステリーの設定やトリックの監修も務める。こっそり大学でも教養課程で科学を教えていたりする。過去の連載をまとめた『薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬』は好評発売中。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。

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