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孫正義氏が挑む海外M&Aの壁

「5期連続赤字で経営不振」ソフトバンクの買収はやっぱり危険?

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 さらに1年後の90年11月、今度は松下電器産業(現パナソニック)が米国の映画会社、MCAを買収。買収価格は7800億円にのぼった。聖域ともいうべき3つの案件の買収が米国民の反日感情に火を点けた。

 バブルの清算過程で、松下電器はMCAから、三菱地所もロックフェラーセンターから撤退した。お人好しのソニーはコロンビア映画の経営を、スカウトした米国人に任せた。コロンビアは乱脈経営を絵に描いたような事態になった。いずれも海外でのM&Aの壮大な失敗例となった。

 通信業界ではNTTドコモが米国進出に失敗した。ドコモは99年に始めた携帯電話インターネット接続サービス「iモード」の米国展開を画策。00年11月、米携帯電話3位のAT&Tワイヤレスに1兆1000億円出資し、16%を保有する筆頭株主となった。だが、ITバブルが崩壊。通信需要に見合わない過大な投資が嫌気され、世界の通信業者の株価が軒並み暴落。米同時多発テロが、これに追い討ちをかけ、通信各社は多額の株式評価損を計上する破目となった。

 ドコモはAT&Tワイヤレスに追加出資を含めて1兆2000億円を投じた。AT&Tワイヤレスの株価の暴落を受けて、02年9月までに9000億円超を減損処理した。04年2月、保有株をすべて売却して米国市場から撤退した。

 AT&TワイヤレスはAT&Tモビリティに吸収された。ドコモが出資した会社は消えてしまった。現在、AT&Tモビリティはベライゾン・ワイヤレスと携帯電話業界の覇を競っている。ソフトバンクが買収するスプリント・ネクステルは業界3位とはいえ、2強に大きく引き離され、5期連続赤字と経営不振に陥っている。

「欧米のM&Aの世界には日本企業が手を挙げたらゲーム・オーバーという言い伝えがある。高値で売り逃げする環境が整ったという意味だ。(ソフトバンク以外に)米国内でスプリントを買収しようという奇特な会社があるとは思えない。ソフトバンクが、潤沢なジャパン・マネーを持つ挑戦者として現れた。これで7年間に及んだスプリントの悪夢がやっと終わる。だから、スプリントの株価は一時、19%も上昇したのだ」と、外資系証券のアナリストは辛口の分析をする。

 海外企業のM&Aは難しくない。一番高い価格を提示すれば簡単に買える。よく言われることだが、難しいのは買収後だ。NTTドコモは買収後に、さまざまな困難に直面し、それを解決するノウハウを持たずに、結局、手を引いた。

BusinessJournal編集部

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