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電力料金の値上げで始まる電炉再編

中山製鋼所は新日鐵住金傘下入りか?動き出す電炉業界再編

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 東鐵は池谷ファミリーが株式の28.9%(12年3月期時点)を保有する同族色の強い企業だが、07年に創業家以外から西本利一氏が社長に就任。正成氏は相談役に退き、創業家出身の役員はいなくなった。

 同社の13年3月期(単独決算)の売上高は対前期比16.7%減の1390億円、最終損益は150億円の赤字(12年同期は142億円の赤字)を見込む。通期の最終赤字は4期連続となる。電気料金の値上げが追い討ちをかけ、一層、厳しい状況だ。

 中山製鋼所の私的整理で電炉業界の再編は待ったなし。高炉との激烈な戦いを乗り切って成長してきた東鐵が、これまでのように「自主独立」路線を貫けるのか。

 中山製鋼所は新日鐵住金の傘下に入るだろう。新日鐵が60.6%出資している(2012年3月末)大阪製鐵、合同製鐵(同14.9%出資)、共英製鋼(住金が25.8%出資)、山陽特殊製鋼(新日鐵が14.5%出資)が“合併予備軍”だ。中山製鋼所と複数の会社が一緒になることがあるかもしれない。

 中山製鋼所といえば、映画マニアに知られた存在だ。松田優作氏の遺作となったハリウッド映画『ブラックレイン』(89年公開)のロケ地となった。オープニングシーンの、朝日に真っ赤に染まり、煙をあげる製鉄所は中山製鋼所の船町工場だった。

 中山製鋼所は戦後の仕手戦の歴史にも名前をとどめる。71年、大阪・北浜を舞台に中山製鋼所の仕手戦の火蓋が切って落とされた。買い方は、当時29歳だった糸山英太郎氏。後ろ盾は、糸山氏の縁戚の日本船舶振興会会長の笹川良一氏。売り方は「日本一の相場師」といわれた近藤紡績所社長の近藤信男氏。買い方の笹川グループが完勝した。

 糸山氏の資金の出どころは謎とされたが、後年、自著で、「初めて明かす事実」として資金スポンサーの名前を告白している。「新日本製鐵の社長をしていた稲山嘉寛氏と富士銀行の岩佐凱実会長(当時)のアドバイスと後ろ盾があった」。

 稲山氏には独立系の中山製鋼所を新日鐵グループに取り込む思惑があったのだろう。新日鐵住金が中山製鋼所の筆頭株主となった舞台裏には、ドロドロした仕手戦があったのである。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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