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岩田社長、来期の営業利益1000億円達成に進退を懸ける

任天堂2期連続赤字 「3DS」も「Wii U」も大失速で下方修正 岩田社長は再び奇跡を起こせるか?

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えーおもしろそう。欲しい。
(「ニンテンドー HP」より)
 10兆3700億円ーー。任天堂の絶頂の頃に記録した時価総額(株価×発行済み株式総数)である。

 2007年11月1日、大阪証券取引所で任天堂の株価は7万3200円の上場来の高値をつけ、時価総額は10兆円を突破した。時価総額10兆円超はトヨタ自動車(23兆円)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(12兆円)に次いで第3位。とてつもない記録なのである。

 あの日から5年2カ月半。13年2月15日の株価(終値)は前日比140円(1.6%)安の8470円(いずれも大証。任天堂の取引の多いのは大証である)。時価総額は1兆1999億円。株価は1万円を割り、時価総額は9兆1701億円が消し飛んだ計算だ。マイナス88.43%、これまたすごい数字である。

 1月末に都内で任天堂の決算、および経営方針説明会が開かれた。岩田聡社長は来期(14年3月期)の業績について「営業利益1000億円以上を目指すということを、私たち経営陣のコミットメントとしてお知らせしたい」と語った。

 コミットメントとは、目標の達成を株主に約束するということだ。もし達成できなければ社長以下、経営陣は全員、退任するというのだ。コミットメントは経営トップの公約である。

 説明会の終盤、アナリストからコミットメントを達成できなかった場合の責任について問われた岩田社長は、こう答えた。「私がコミットメントという表現を使ったことで、既にご理解いただけていると思います」。コミットメントを流行語にしたのは日産自動車社長のカルロス・ゴーン氏だ。「コミットメントが実現できなければ、我々経営陣は引責辞任する」と言い切ったのが最初だ。

 13年3月期の連結営業利益は、従来予想の200億円の黒字から一転、200億円の赤字になる。2期連続の営業赤字(12年3月期は373億円の営業赤字)だ。売上高も従来予想より1400億円少ない6700億円に引き下げた。最終損益は、円安効果で従来予想より80億円増え、140億円の黒字になるとした。

 営業赤字に転落したのは、最大のかき入れ時である年末商戦で、満を持して投入した家庭用据え置き型ゲーム機の新機種「Wii U(ウィーユー)」のハードとソフトの販売が予想を大きく下回ったためだ。

 家庭用ゲーム機の新機種投入は、6年ぶりのことだった。昨年11月に発売された「Wii U」は、6インチのタッチパネル式の液晶画面の付いたコントローラーを導入した。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)でプレーができるソーシャルゲームの台頭で苦戦を強いられている任天堂が、起死回生策として投入したのが「Wii U」だった。

 しかし、約2年前に発売された携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の二の舞いになった。「3DS」は販売台数が計画を下回り、すぐに値下げせざるを得なかった。これが前期に約30年ぶりに赤字に転落する引き金となった。

「Wii U」は当初、ハード550万台、ソフト2400万本の販売を見込んでいたが、3月末までの販売予想を、それぞれ150万台減の400万台、800万本減の1600万本に大幅に引き下げた。12月末までの販売実績はハードが306万台、ソフトは1169万本だった。

 12年10月に下方修正していた「3DS」の販売見通しも再び引き下げた。前回ハード1750万台、ソフト7000万本としたものを、1500万台、5000万本に大幅に減らした。

 任天堂は1889(明治22)年、工芸職人だった山内房治郎氏が花札を製造したのが始まり。家業を継いだ三代目の山内溥氏がテレビゲームに参入。83年、ファミコンが子どもたちの間で爆発的な人気を呼んで、ゲーム会社に大変身を遂げた。

 ゲーム業界は浮き沈みが激しい。90年代後半から00年代前半にかけてソニーの「プレイステーション」に首位の座を明け渡し、任天堂はピンチに立たされた。この時、オーナーの山内溥氏が後継者として白羽の矢を立てたのが岩田聡氏。岩田氏は札幌南高校時代に、ゲームを多数考案して、札幌の天才少年と呼ばれていた。

「誰よりもおもしろいソフトをつくるやつだ」。岩田氏の才能を山内氏は高く評価した。岩田氏を社長にした理由を問われた山内氏は「ハードでないはずや、と判断したから」と答えている。山内氏の言葉を翻訳すると「物作りのハード志向ではない。ソフトのことが好きで、売れるソフトが何かがわかるやつ」ということになる。

 岩田社長は巻き返しに出た。ソニーはハードが主でソフトが従の路線を採っていた。任天堂は真逆で、ソフトが主でハードは従とした。先端技術を駆使し、多くの機能を追求しただけでは、楽しさやおもしろさに直結しないことを、山内氏の直弟子の岩田氏はわかっていた。

BusinessJournal編集部

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