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知ってるようで知らない……薬局の歩き方・クスリの選び方 第10回

眠くなる花粉症薬はもう古い! 新薬が続々登場の花粉症薬最前線

文=へるどくたークラレ
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●意外と使える鼻炎薬。安物は絶対買っちゃダメ!

 さて、鼻炎薬の話が出ましたが、OTCではどれを買えばよいでしょうか?

 実のところ500円以下の安い鼻炎薬は、全部買わない方がよい。なぜなら、こうした安物の鼻炎薬には、ほぼ間違いなくナファゾリンという古い血管を収縮させて炎症を抑える成分が入っているからです。この成分は、一時的には鼻の通りを良くしますが、効果の持続はなく、結果的に大量の鼻炎薬を使用しなければ鼻が詰まり続けることになります。さらに、この成分が原因で鼻づまりが起きる薬剤性肥厚性鼻炎という、治療困難な鼻炎にレベルアップします。

 意外とこの罠にはまって、自分は鼻薬が手放せないと嘆いている人も多くいますが……まさかこの記事を読んでいる人にもいませんかね? これの治療は非常に大変で、耳鼻科に通院になります。ただし、きっちり治せますので、ついでにアレルギーの対策も講じて、劇的に楽になるかもしれませんよ。

 話がそれましたが、結局鼻薬というのはこうした危険もあるため、1日に2~3回、キメ打ちするという使い方が無難です。そして2週間以上は使わないというのが鉄則です。そういう意味では、薬局薬ではナザールARがオススメです。

・ナザールAR(佐藤製薬)

 ベクロメタゾンというステロイド配合を使用しているナザールAR。ステロイドというとなんとなくイメージが悪く悪者にされがちですが、実は、炎症を抑えるにはなくてはならない奇跡の薬なのです。現代医療を支える柱のひとつで、乱用さえしなければ良い薬なのですね。逆に言えば、それほど強い薬をアホみたいに使えば、しっぺ返しがあるのは当然。副作用に注意が必要な薬は、使いこなせば最良の道具になるのです。

 市販薬では数少ないステロイド系点鼻薬のナザールARは、処方薬の世界ではもはやあまり使われませんが、それでも十分に強い効果があります。朝、昼、寝る前の3回に限り、しっかり鼻に入れて炎症を抑え込めば、悪化を食い止めることができるのです。

●裏技は睡眠前に風邪薬を飲むこと?

 あと裏技としては、睡眠前にあえて風邪薬を使うという対処法もあります。風邪薬というのは、そもそも風邪を治す成分ではなく病原体の引き起こす諸症状を抑える薬です。

 ゆえに現在は、花粉というアレルゲンによって、粘膜が腫れたり、正常な代謝ができていなかったりといった諸症状が出ているわけで、それらは風邪に近い状態です。

 なぜあえて寝る前に……というかといえば、風邪薬の副作用には「眠気」があるからです。さらに寝ている間に症状を抑えることで、少しでも粘膜の再生を助けてあげることができ、慢性の炎症を起こさないように鎮火するという大事な仕事をさせることができるのです。

 その場合の風邪薬は、カフェインやエフェドリン類といった睡眠の質を下げる成分を含まないシンプルなものがいい。パブロン50(大正製薬)なんかはわりとオススメです。

 また、炎症で荒れた粘膜の再生には、ビタミンCも効果的です。普段より多く果物を食べたり、ビタミンCのサプリメントなども小まめに摂取すれば、つらいシーズンも賢く乗り切れるはずです。

 薬を使う生活というといぶかしげな顔をする人もいるかと思いますが、花粉症という、期間限定で本来ないはずの不具合を自然のままに任せて悪化させるのは、あまり賢いとは言えません。用法用量を守ってさまざまな薬をうまく使い、快適に過ごしてください!

【尚、本記事は、サイエンス・ライターがつづる化学コラムです。報道の見地から行っているものであり、再現性やその内容を保証するものではありません。一切の責任を編集部及び著者は負いかねます。また薬を服用する際は、医師や薬剤師にご相談ください。】

へるどくたークラレ

へるどくたークラレ

覆面の不良科学屋。添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、『アリエナイ理科ノ教科書』の著者、SFやミステリーの設定やトリックの監修も務める。こっそり大学でも教養課程で科学を教えていたりする。過去の連載をまとめた『薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬』は好評発売中。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。

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