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大塚将司「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第1部>」第27回

自治体からの利益供与を金でもみ消し!? 大手新聞社長のスキャンダル疑惑

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 村尾が右手を差し出し、2人は固い握手を交わした。その時、玄関のガラス戸が開いた。

●宿題

 1時間後の午後6時に来ることになっていた大都、日亜両社の取締役編集局長の北川常夫と小山成雄の2人が着いたのである。老女将が部屋に案内すると、2人は先週月曜日と同じ席に座った。そして、部屋を出た老女将が4人分の五段重ねの仕出し弁当を運び、卓袱台に乗せた。

「お飲み物はどうしましょう?」
「ビールと熱燗2本、それから、焼酎のボトルとお湯割りの準備をして持ってきてくれ」

 老女将は部屋を出ると、飲み物の準備を整え、また部屋に入ってきた。そして、4人にビールをお酌して、黙って出て行った。

「今日はな、真面目な話だから、弁当にした。物足りんかもしれないが、我慢してくれ」

 松野が口を開き、軽くグラスを上げた。ビールを半分ほど飲むと、続けた。

「ところで、宿題はどうなった?」

 北川と小山の2人は顔を見合わせ、苦笑いした。すると、村尾が助け舟を出した。

「先輩、1週間で新媒体を具体化しろ、と言っても無理ですよ。そんな芸当ができるような奴が残っているなら、今、我々はここにいません」

「何を言う。俺を君らと同じに扱うな。確かに、村尾君は瓢箪から駒みたいなもんだが、俺は若い時から本命で、なるべくして社長になったんだ。一緒にするとは失敬だぞ」
「先輩、おっしゃる通りですけど、そうカリカリしないでくださいよ。合併まで1年以上あるんですから、もうちょっと待ってやりましょう」
「わかったよ。でもな、なんのアイディアもないわけじゃないだろう。ぼんやりしたものでいいから、話してみろ」
(文=大塚将司/作家・経済評論家)

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週4月19日(金)掲載予定です。

BusinessJournal編集部

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