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イオン、ダイエー子会社化の舞台裏と再建のカギ…丸紅との確執、店舗老朽化、社員の反発

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イオン、ダイエー子会社化の舞台裏と再建のカギ…丸紅との確執、店舗老朽化、社員の反発の画像1イオングループ本社ビル
(「Wikipedia」より)
 イオンダイエーを子会社化する。今月中に筆頭株主の丸紅から、同社保有のダイエー株29.34%のうち24%強をTOB(株式公開買い付け)で取得、すでに保有しているダイエー株の約20%と合わせ、約44%を保有する新たな筆頭株主となる。

 買収額は130億円前後の見込み。今後はイオンの主導で、最終赤字が続くダイエーの経営再建を急ぐことになるが、今回の子会社化の裏には、イオンと丸紅の確執があった。

 ダイエーの子会社化により、イオンの連結売上高は単純合算で6兆円を超え、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の連結売上高約4兆8000億円を大きく引き離し、圧倒的な業界トップとなる。

 イオンの岡田元也社長は3月27日、都内で開いた記者発表で、ダイエーの経営再建が遅々として進まなかった原因について「大株主が2社あり、誰が責任者なのかはっきりしなかった」と意思決定の曖昧さを指摘した。一方、丸紅の岡田大介常務執行役員は「リーダーシップがとれず、営業面の回復が遅れた」と、暗に丸紅主導の再建失敗を認めた。

 これからのダイエー再建の基本方針について、岡田社長は「物流や商品調達、PB(プライベートブランド)商品、電子マネーなどの共通性を高め、コスト競争力を強化してゆく」と述べた。

 ダイエーは小売業で売上高日本一を記録するなど、一時はリーディングカンパニーになったものの、バブル期の多角経営が仇となり過剰債務を抱え、経営難に陥った。このため、04年から産業再生機構に救済を求め、06年に丸紅が同機構からダイエーを買収。07年には丸紅が保有するダイエー株の一部をイオンに売却。以降、丸紅とイオンが共同でダイエー再建を進めていた。

 しかし、再生機構の救済開始から10年近くたった今も、「再建途上」(岡田社長)という状況。この要因として「1つは再生機構による再建という選択が間違っていた」と岡田社長は断言する。01年に経営破綻したマイカルは会社更生法適用を申請し、イオンはそれによってマイカルを子会社化、短期間で経営再建した実績がある。

 一方、ダイエーの場合は再生機構が救済に入った結果、丸紅が商品戦略、イオンが営業改革の分業体制となり、「両社の思惑の違いから業務改革がちぐはぐになり現場は右往左往し、おかげで従業員のモチベーションは低下の一方」(ダイエー社員)になった。

 それを岡田社長は暗に指して「誰が責任者か、はっきりしなかった。それが再建を長引かせた」と説明、子会社化することは「責任の所在を明確化する意味合いも強い」と強調した。この発言には、態度が煮え切らなかった丸紅に対する、岡田社長の強い苛立ちが滲んでいた。

●イオンの焦り

「ダイエーの再建について、来春までに結論を出しましょう」。丸紅の朝田照男社長(当時、現会長)と極秘に会い、最後通牒のように岡田社長がそう切り出したのは昨年暮れのことだった。

 イオンは数年前から、ダイエーの経営再建をイオン主導に切り替え、再建を急ぐべきだと主張していた。だが丸紅は首を縦に振らなかった。

 その頑なな態度が変わり始めたのは、消費増税法案が国会で可決された昨年6月以降。全国で1日平均100万人の買い物客が訪れるダイエーだったが、6月以降、客数が1日平均4万人前後減り始めていた。

 加えて、今年秋には約600億円ある債務の一部が返済時期を迎える。このままでは銀行が借り換えに応じない懸念も浮上。「時間がない」と焦ったイオンは、昨夏から丸紅と取締役級で出資比率の変更も含めた実務交渉を始めたが、交渉は進展しなかった。

●イオンと丸紅の確執

 イオンと丸紅は、過去の経緯から互いに不信感もあった。

 両社は数十年前から密接な関係にあったが、1994年にダイエーが旧忠実屋など3社と合併した頃、丸紅がダイエーとの取引重視に舵を切り、イオンを疎かにするようになった。これが「丸紅不信のきっかけになった」(イオン役員)という。

BusinessJournal編集部

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