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図書館はTSUTAYAとスタバの“おまけ”?  民間委託で利用者急増も、トラブル&疑問の声が噴出

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二子玉川にもできるらしい。(「代官山蔦屋 HP」より)

 TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者とした、武雄市図書館が4月1日にリニューアルオープンした。オープンから1カ月が経った武雄市図書館(佐賀県)の様子を、5月20日の日本経済新聞朝刊が詳しく伝えている。

 図書館は武雄市が約4億5千万円、CCCが約3億円を負担して改装。建物の入口近くに、DVDレンタルの「TSUTAYA」と新刊書店の「蔦屋書店」、スターバックスコーヒーがオープンした。それらは図書館とは隔たっておらず、民間の店舗と公共の図書館が混在している形だ。閲覧用の机は飲み物片手に本を読む人でほぼ満席だという。

 また、午前10時から午後6時までだった開館時間は、改装後は午前9時から午後9時までへと4時間延長。年中無休にもなった。さらに、TSUTAYAのポイントカード「Tカード」を図書館利用カードとして使うことも可能で、セルフカウンターで貸し出しを行えば、3ポイント(3円)が付与される。

 民間ならではのおしゃれさと利便性で来館者を増やし、4月末時点の来館者数は1日平均3312人と、改装前の5倍に及ぶ。武雄市は年間1億1千万円の委託料をCCCに支払いながらも、直接運営時よりも年間1千万円のコスト削減を見込んでおり、好調な滑り出しといえるだろう。

 CCCへの図書館運営委託を推進してきた、武雄市の樋渡啓祐市長はニュースサイト・NEWS47が13日に配信した記事で、「正直、この勢いは予想外だった」と発言。さらに今後、利用者目線で利便性などを追求する「市民価値」の向上を武雄市図書館で創出し、「他の分野にもどんどん広げていきたい」とも述べ、意欲的な姿勢を見せている。

 そんな武雄市図書館を実際に見ようと、全国の市議会議員らが視察に訪れている。

 大阪府大阪市の市位謙太市議会議員は自身のブログで、写真を交えて視察の様子を報告。「民間が運営する図書館について賛否両論ありますが、来場者数がすべてだと思います」「武雄図書館はこれからも目を離せません」など、武雄市の取り組みを支持した。

 また、現在の指定管理者との契約が来春に切れる、三重県松阪市の山中光茂市長は4月24日の記者会見で、3月に武雄市図書館を内覧したことに触れ、「館内にコーヒーチェーンのスターバックスが入り、図書館の配置や自動貸し出し機も画期的だった」と発言したことを、4月25日の朝日新聞地方版が伝えている。

 全国から関心を集めている武雄市図書館だが、一方で批判的な声もある。前出の日本経済新聞の記事では、「市が税金で書店を誘致したようなもの。太刀打ちできず、このままでは廃業するしかない」との、市内で書店を営む男性の声を紹介。商業店舗を併存させる運営方法や、「書籍の無償貸与に限定する著作権法に抵触する」恐れのあるTカードのポイント付与などについて、問題提起している。

 また、すでにトラブルも生じている。図書館エリアの共有席に座った利用者に、スターバックスコーヒーのスタッフが商品購入の有無を聞く誤った対応があったと、佐賀新聞が15日配信の記事で報じた。

 館内の飲食可能なスペースには、スターバックスコーヒーの営業席50席と共有席16席、テラス席(共有)36席がある。このうち、営業席の利用にはスターバックスコーヒーでの商品購入が必要だが、共有席は購入しなくても座れる。しかし、スターバックスコーヒーのスタッフが認識不足で、共有席に座っていた利用者に「商品を買い求めた人の席です」と誤った案内をしてしまったという。

 苦情が寄せられたことで、図書館側は15日までに「お詫び」をホームページに掲載。樋渡市長も自身のブログで謝罪し、「今後とも、武雄市としては、CCCと力を合わせて、修正すべきところは修正しながら、より良き図書館となるように力を尽くして参ります」と述べている。

 しかし、今回のトラブルについては、複数の利用者が数日前からツイッターなどで「おかしい」と指摘していたほか、「お詫び」に掲載された営業席50席についても疑問視する声が上がっている。

 スターバックスコーヒーの公式サイトでは当初、座席数が6席と表示されていたほか、保健所に提出されていた図面に明示された座席もカウンターの6席のみだったことが、ネットユーザーによって指摘されている。

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総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
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