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元ANAトップCAが語る、クレーム対応の極意と、成果を生む組織マネジメント&仕事術

 自分があれをやらなきゃ、これもやらなきゃではなく、できるだけ自分にアイドルタイムをつくること。それが、トータルで見たサービスのクオリティを向上させることにつながります。

 チーフパーサーという立場や仕事の難しさは、監督であり、プレイヤーであること。そこの難しさはありますね。プレイヤーになりすぎるリスクがあるんです。チーフパーサーというのは、動きながら全体を把握しなければなりませんから。

–具体的に、どのような難しさがあるのでしょうか?

里岡 「イケてない」と言われるCAがメンバーにいると、ほかのCAたちが、私にそれを言ってくるんですよね。「なにがイケてないの?」と聞くと、「あれもダメ、これもダメ」と、いろいろと言ってくる。「そうなんだ」と、とりあえず聞いておきます。じゃあアピアランスは? と尋ねると、「それは良いです」と返ってくる。そしたら、私はこう答えるんです。「見た目が良いなら十分でしょ」って。

 苦手なところは得意な人の隣について勉強してもらって、得意なことを生かせるようなポジショニングを心がけていたのですが、彼女はどうも得意なところはなさそう。見た目の印象が良いのであれば、ドアサイドでお客様をとびっきりの笑顔でお出迎えしてもらいましょうと! それだけでも十分貢献していますよ。

 美しさって、絶対に人を癒やしますから。見た目が美しいというのは、私にないリソース。ならば、それを生かしてもらおうと。あとで「お客様、あなたの顔を見てうれしそうだったわね」とでも伝えて自信を持ってもらうことも大事ですね。まぁ自信を持たせすぎると、それもそれで厄介ではあるんですが(笑)。でも自分も役に立っていると感じるのは、やりがいにつながりますからね。あからさまに期待しているという感じを出すのではなく、自然に居場所をつくっていくことが大事です。

–CAといえば女性ばかりの社会。女性同士の関係って、なかなか難しいところもありますよね。なかには、居場所のない思いをしている方もいらしたのではないでしょうか?

里岡 仲間に入りづらい人、スタンドアローンで頑張っている人ももちろんいますし、見ていればそれはわかります。そういう方って誰にも相談しないんですよね。ひとりでやろうとしてしまう。だから周りも彼女が何をやっているのかがわからなくて、助けようにも助けられないわけですよ。それで手いっぱいになってしまい、「○○を忘れられた」といったクレームをお客様からいただくことになってしまう。

 お客様の視点から見て、クルーの関係がよくないというのは絶対にいけません。仕事のやりがいを含めて、みんなに楽しかったと言ってほしい。私の考える「おもてなし」というのは、お客様に対してはもちろんのこと、クルーに対してのものでもあるんですよ。

●コミュニケーション、人付き合いの極意

–コミュニケーションや人付き合いで、心がけていらっしゃることはありますか?

里岡 たとえ気の進まないお誘いであっても、拒絶から入らないことですね。すべてのチャンスは「NO」の一言で二度とやってこないものですから。気の進まないお誘いでも、何か工夫することによって最適化して乗れるなら乗るし、乗れないなら乗らない。例えば「この人には興味がない。けれど、この人のやっていることには興味がある。でも、ふたりきりにはなりたくないな」という場合。ならば、会うシチュエーションを工夫してみる。誰かを一緒に連れて行くとかね。

–それがご著書『誰から〜』にも書かれていた、人と運を引き寄せるということにつながるのでしょうか?

里岡 そうですね。だって、人生の時間なんて限られているんですもの。欲しいものだけ、欲しい時に手に入れば、それが一番じゃありませんか。そういうことをお伝えしているのが、私の主宰する「美津奈塾」ですね。幸運ではなく強運を手に入れましょう、と。幸運は清く正しく美しく生きてさえいれば、ある程度手に入るんですよ。それに対し、強運は一生もので、かつ手に入れるノウハウがあるんですよ。そういう生き方のヒントをお伝えしています。

–例えば一例として、どのようなことが挙げられますか?

里岡 勘や本能、感性による導きですね。体って、いわば人生を味わうための器だと思うんです。そして勘や本能、感性のアンテナって、それまでの経験値によって、引っかかるものが形成されている。だから「私」と「五感」の信頼関係に忠実になること。忠実にあろうとすれば、それはちゃんとした答えを出そうとするはずなんですよ。

 よって、いらないものは淘汰されてゆく。だから、人と運は引き寄せられるんです。私だって、いい大学を出たわけでも、何か人より秀でたものを持っているわけでもありません。それでもそこそこ恵まれているのは、強運体質だからだと思うんですよね。そして、それは習慣によってつくられていると考えているんですよ。

–「習慣」について、詳しくお聞かせいただけますか?

里岡 私は「毎日が自分をつくる」と考えています。仕事でもなんでも、とっさのときにこそ、その人の真価が問われるものだと思います。そんなときには、常に身についているものしか出ませんから。ここだけ何か取り繕わなきゃと考えていても、それはとっさのときには出ないものでしょう。

 いい習慣を身につけるには、毎日の生活が大事だと思います。何を着るか、何を食べるか、どこで生活するか……そういったことすべてです。なんでもおなかいっぱいにさえなればいいとか、とりあえずなんでも着ていればいいとかでは習慣は身につきません。

BusinessJournal編集部

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