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吉田潮「だからテレビはやめられない」(9月22日)

夏連ドラ、ヒット続出の理由と、“期待薄”秋ドラ・レース占う〜アイドルドラマだらけ?

文=吉田潮
夏連ドラ、ヒット続出の理由と、“期待薄”秋ドラ・レース占う〜アイドルドラマだらけ?の画像1「半沢直樹 公式サイト」(TBS HP)より

 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 この夏、連続テレビドラマが元気だった。放送終了が惜しまれる秀作が多くて、ぽっかりと心に穴が空いてしまいそうだ。その最たるヒット作が『あまちゃん』(NHK)。毎朝毎昼楽しみにしていた人たちは、たぶん10月から「あまちゃんロス症候群」に陥るだろう。脇役がとにかく個性的でキャラが立っているし、それぞれが手練れの瞬間芸をきっちり演じている。中でも、ドラマ全体を通していえば、MVPはやはり夏ばっぱ(宮本信子)である。コミカルな部分も含めて、心の機微を見事に演じ分けていたからだ。『あまちゃん』ヒットの骨格であり、土台が宮本だったと思っている。

 また、すでに終わってじんわり心に残る『Woman』 (日本テレビ系)は、満島ひかりと田中裕子のW女優魂をきっちり堪能できた秀作だった。破竹の勢いで視聴率を伸ばした『半沢直樹』(TBS系)も、堺雅人のよどみないバンカーぶりと滝藤賢一の不安顔芸の賜物。だからこそ、10月期の新ドラマがとても心配である。

 これらのヒットの理由はいわずもがな。芝居ができるまっとうな俳優たちが演じたこと、脚本が素晴らしかったことに尽きる。事務所の権力と政治力だけで主役にあてがわれるアイドルドラマとはワケが違う。この手のアイドルの熱狂的なファンの数が、必ずしも高視聴率につながるとは限らないことを、テレビ局はうすうす、というか重々気づいている。わかっちゃいるけどやめられない、それがテレビであり、芸能界ってもんだ。  
 
 その悪しき慣習が最も現れているのが、10月から始まる予定のドラマである。NHKも含め、各局のラインナップを見る限り、軒並み大コケ必至のアイドルドラマだらけ。主演とタイトルを見ただけで、思わず吹き出すようなドラマもある。例えば、『安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?』(TBS系)は、木村拓哉が演じる主人公がロボットって。TBS、それで本当に大丈夫なのか? 『半沢直樹』の後番組だけに、痛々しさがすでに漂い始めている。まだ始まってもいないが。

 秋ドラマで確実に面白いだろうと期待できるのは、堺雅人主演『リーガル・ハイ2』(フジテレビ系)だけ。脚本はもちろん、堺のキテレツ&拝金主義な弁護士っぷりが再び観られると思うと楽しみで仕方がない。シーズン2をやってほしい、やるべきだと思っていた人も多いはず。さらには、半沢人気効果で視聴率も稼げるとも予測できるし。

 続編モノでいえば、昨年高視聴率だった米倉涼子主演の『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)も第2弾が始まる。が、役者陣を大幅に入れ替えたことがどう影響するかがちょっと心配。西田敏行のヒール役に期待はしているのだが。

 あとは、脚本次第かなと思うのが、田中圭主演『ノーコン・キッド~ぼくらのゲーム史~』(テレビ東京系)、椎名桔平主演『刑事のまなざし』(TBS系)ぐらい。ほかは、主演がたとえまともな俳優であっても、設定がつまらなさそうなドラマも多い。願わくば、この予測を裏切ってほしいのだが、厳しいだろうなぁ。

 つまり、今秋ドラマは全体的にうすら寒くなりそうな予感である。ヒット作多発の直後は仕方ない。その代わり、冬ドラマのキャスティングが楽しみだ。『あまちゃん』レギュラーで人気を博した松田龍平や塩見三省あたりのCM露出も増えてきていることだし。ヒット作の固定イメージを覆すためにも、本物の俳優はどんどんドラマに出てほしい。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

吉田潮

吉田潮

ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)で「TVふうーん録」を連載中。東京新聞でコラム「風向計」執筆。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)などがある。

Twitter:@yoshidaushio

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