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パチンコの換金、法的になぜ罰せられない?カジノ解禁ムードで強まる合法明文化への動き

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 それが国民に支持されるかどうかは、パチンコ業界が、各種の問題解決のためにいかなる努力をして業界の適正化、健全化に努めているか、目に見える形での社会貢献をいかに果たしているかなどにかかってくると思われる。

●実質的な影響~カジノ解禁がパチンコマーケットに与える影響は限定的か

 カジノが解禁された場合に、パチンコが客を奪われてマーケットが縮小するかについては、諸説ある。東京、大阪、沖縄にカジノができると想定した上で、パチンコ利用者の20%ほどがカジノに乗り換えるとの推計を行っている大手金融機関もあるようである。しかし、筆者としては、カジノが想定している客層とパチンコの客層とはかなり異なる上(カジノについては相当額の入場料を徴収することも検討されているくらいである)、当初のカジノ施行地域は数カ所に限定されるため、カジノ解禁がパチンコマーケットに与える影響は限定的ではないかと考えている。

 なお、パチンコ業界のカジノ解禁問題への姿勢は一様ではない。積極的に解禁に賛成し、自らカジノの運営に関与すべく行動しているのは、一部の大手に限られる。大半のホールは、どちらかというと消極的な姿勢であり、カジノと対比される形でパチンコ産業への風当たりが厳しくなることを警戒しているというのが実情ではなかろうか。

●徹底した熟議が必要

 カジノ解禁は、いわゆる「飲む、打つ、買う」のうちの「打つ」という人間の本能的欲望に直結する深いテーマであるとともに、お金の稼ぎ方・使い方という意味で、憲法27条の勤労の義務にも関わる重大テーマである。特別法を制定して、いったんカジノ施設を設ければ、多くの利害関係者が誕生する。さらに、不正・違法行為を摘発するために、逮捕権を有する査察官制度の導入も検討されるなど、現行法制の多岐にわたって特例的措置を設ける以上、後になって廃止することは事実上不可能であり、もはや後戻りできない。

 したがって、カジノを解禁するかどうか、解禁するとしてどのような制度の建て付けにするかについては、国民間の徹底した熟議が必要である。
(文=山脇康嗣/弁護士)

●山脇康嗣(やまわき・こうじ)
1977年大阪府生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科専門職学位課程修了。東京入国管理局長承認入国在留審査関係申請取次行政書士を経て、弁護士登録。現在、第二東京弁護士会国際委員会副委員長。主要著書として、『詳説 入管法の実務』(新日本法規、単著)、『入管法判例分析』(日本加除出版、単著)、『Q&A外国人をめぐる法律相談』(新日本法規、編集代表)、『事例式民事渉外の実務』(新日本法規、共著)、『こんなときどうする外国人の入国・在留・雇用Q&A』(第一法規、共著)がある。

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