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ここがヘンだよ『リーガルハイ』~古美門暴走の法廷シーン、裁判官の年齢に執務室

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 今では法廷では裁判官は神様同然だ。民事事件でも刑事事件でも、裁判官の心証一つで判決が変わり得るため、よほど変わった弁護士でなければ、裁判官を罵倒するような展開にはなりようがない。依頼人の側にしてみれば、裁判官を罵倒するような弁護士には弁護を頼みたくない。最初から負けが決まっているようなものだからだ。

 法律の条文を読むと、暴言でも暴行でも適用されることになるが、「感覚的には暴言を吐くと退廷処分、不規則行動を取ると監置」だったという。不規則行動とは、裁判官や検事に向かってカメラを向けたりする行動だ。スペシャル版では、古美門は暴言を吐く前に、裁判官に対して皮肉を込めて拍手をしている。

●裁判長を務める別府裁判官はアラフォー女子?

 裁判長は基本的に判事が務める。判事補から判事への昇格は原則任官から11年目。裁判官は1人で事件を担当することもあれば、裁判長と2人の陪席裁判官の合計3人で担当する合議という場合もある。陪席裁判官は、法廷で裁判長の両隣に座る。裁判長の右手(傍聴席から見ると裁判長の左手)に座るのが右陪席といい、裁判官になって(任官)から5年以上10年未満の判事補が務める。これに対し、裁判長の左手(傍聴席から見ると裁判長の右手)に座るのが左陪席といい、任官から5年以内の若手の判事補が務める。

 スペシャル版のいじめ裁判は合議体が担当。裁判長は別府裁判官だった。右陪席、左陪席の年齢バランスはとりあえず取れている印象だったが、別府裁判官は何歳なのかと疑問が湧き、フジテレビの番組サイトをチェックしてはみたものの、年齢は書いていない。大学在学中に司法試験に合格し、卒業後すぐに司法修習を受け、裁判官になったとしても任官時は25歳。11年目ということであれば36歳。別府裁判官がアラフォー女子という設定ならば、とりあえず年齢面でのつじつまは合うが、東京の法廷しか傍聴したことがない筆者は、あんなに若い裁判長を実際の法廷で見かけたことはない。地方の法廷なら、若い裁判長を見かけることもあるのかもしれない。

 ちなみに、第2期の第1話冒頭、ぶりっこアイドル・南風るんるん(小島藤子)の裁判では、右陪席が中年男性だった。裁判官は司法試験合格者の中でもスーパーエリートがなるものなので、年齢がいってから司法試験に合格した人が裁判官になるということは考えにくい。30歳前後の役者を使うべきだった。

●裁判官の執務室は相部屋

 ドラマでは古美門の弟子であるパートナー弁護士・黛が、なんとか古美門の監置処分を解除してもらおうと、別府裁判官の執務室に頼みに行くシーンがあった。執務室はかなり広い個室で、家具や調度品も豪華だ。部屋のつくりはアメリカの人気コメディドラマ『アリー my Love』(FOX/1997-2002年、日本では98年からNHK総合にて放送)に登場した女性裁判官ジェニファー・コーン(通称:ウィッパー/ダイアン・キャノン)の執務室とよく似ている。ウィッパーは主人公の弁護士、アリー・マクビールの勤務先であるケイジ&フィッシュ事務所のパートナー弁護士、リチャード・フィッシュの恋人という設定で、リチャードが実に気軽にウィッパーの執務室に出入りするシーンが出てくる。

 現実の日本の裁判官の執務室は、他の裁判官と相部屋だ。一般の会社の席を思い浮かべ、裁判長が部長席に座り、陪席裁判官が平社員とイメージすると近いだろう。法廷の位置と同様に、裁判官の右手に右陪席、左手に左陪席の裁判官の席が並ぶ。右陪席と左陪席の席は向かい合うように並べられている。

 弁護士が裁判官に会うときは、大部屋の隅にある応接セットか、執務室の隣にある小部屋になるという。この小部屋は、一般的な会議用の長テーブルに、事務用椅子もしくは折りたたみ式のパイプ椅子が配置されている程度の質素なものだ。

 法廷の椅子は現実とドラマに大差ない印象だが、別府裁判官に古美門が監置処分を食らった際の法廷は、裁判官席の位置がかなり低い。閉廷後、裁判官は裁判官席うしろの専用通路からさっさと退廷するのが一般的で、弁護士が声をかけに行けるほどのんびりはしていない。

 ちなみに、検事は基本的に個室だ。公判部では大部屋にする試みも一部の地検で行われているが、取り調べをする刑事部の検事は100%個室で、立会事務官とペアで一部屋となる。醍醐実検事(松平健)の部屋の構造は暗くてよくわからないが、01年1~3月期に放送されたテレビドラマ『HERO』(フジテレビ系)の主人公である検事、久利生公平の執務室よりは、土曜ワイド劇場の人気シリーズ『検事・朝日奈耀子』(テレビ朝日系)の主人公・朝日奈耀子(眞野あずさ)や、金曜プレステージの人気シリーズ『検事・霞夕子』の主人公、霞夕子(沢口靖子ほか)の執務室のほうが現実に近いといえる。

BusinessJournal編集部

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