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“ハゲタカ”サーベラスが日本に残したものとは?日本撤退の裏側と西武HD上場の行方

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“ハゲタカ”サーベラスが日本に残したものとは?日本撤退の裏側と西武HD上場の行方の画像1西武HD傘下のプリンスホテルが運営する「ザ・プリンス・パークタワー東京」(「Wikipedia」より)
ハゲタカファンド」の異名を持つ米投資会社・サーベラスが日本から撤退する。

 サーベラスは2月7日、バスやホテル事業を傘下に持つ国際興業の株式を小佐野隆正社長ら創業家が運営する国際興業ホールディングス(HD)に売却した。サーベラスは国際興業の株式の55%を保有していた。売却価格は約1400億円で、その購入資金としてほぼ全額を三井住友銀行が国際興業に融資した。これにより、国際興業HDは国際興業の株式100%を保有することになる。

 サーベラスは、鉄道やホテルを展開する西武ホールディングス(HD)が4月下旬に再上場することでも同意している。サーベラスは上場時に一定の株式の売り出しに応じるほか、西武HDが上場後、段階的に持ち株を売却する方針だ。これでサーベラスが手掛ける国内大型投資案件はなくなる。

 国際興業は「昭和の政商」といわれた故・小佐野賢治氏がつくり上げたバスやホテル、ゴルフ場などを手広く経営する運輸・観光レジャー会社。小佐野氏は田中角栄元首相の刎頚の友として知られる。1972年、裸一貫から「庶民宰相」に上り詰めた田中氏が首相になれたのは、小佐野氏の全面協力があったからといわれている。

 経済界のもっぱら裏街道を歩いてきた小佐野氏は、日本航空と全日本空輸の大株主となり、航空業界に君臨するという野望を持っていた。しかし、田中元首相逮捕の原因となったロッキード事件に連座し、エアライン制覇の夢は消えた。だが、小佐野氏は帝国ホテルの株式を買い占め、悲願だった帝国ホテル会長の座を射止めた。会長就任の1年後の1986年10月、小佐野氏は69歳で波瀾万丈の人生の幕を下ろした。

 小佐野氏が一代で築いた国際興業は2004年10月、主力銀行のUFJ銀行(現三菱東京UFJ銀行)の不良債権処理に伴い、サーベラスに売却された。サーベラスはUFJ銀行とりそな銀行から、国際興業への貸し出し債権5000億円を半値に値切り、2500億円で一括購入した。当初、売却価格は1500億円だったが、国会議員などが「安すぎる」と批判し、サーベラスは1000億円上積みしたという経緯がある。株主責任を明確にするために100%減資したうえで、買い取った債権の一部を株式化して大株主となり、国際興業を傘下に収めた。

 サーベラスは、東北のバス会社など傘下の事業や優良資産を次々と売却して債権を回収していった。07年10月には、国際興業が発行済み株式の39.5%を保有する帝国ホテルの株式を三井不動産に861億円で売却。13年にはグループの八重洲富士屋ホテル(東京)を300億円で住友不動産へ、同年末には東京・浜松町に持つ土地を日本生命保険などへ800億円でそれぞれ売却した。これ以上、資産の切り売りが続けば事業の継続が困難になると判断して、国際興業は株式の買い戻しを申し入れた。サーベラスの投資総額は明らかになっていないが、資産を売って上げた利益を特別配当のかたちで受け取っており、十分にペイしているとみられている。渡りに船とばかりに国際興業側の要請を受け入れた。

 こうして国際興業は再び小佐野一族の会社に戻ったが、優良資産はあらかた失った上に、株式の買い戻し資金1400億円という巨額借金を背負うことになった。

●対照的な結果となった、あおぞら銀行と西武HD

 サーベラスは92年に設立された投資会社で、米国の年金基金や機関投資家から集めた資金を基に運営されている。米国の元副大統領のダン・クエール氏が顧問、ブッシュ政権下で財務長官だったジョン・スノー氏が会長を務めたことで知られる。

BusinessJournal編集部

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