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巨艦・日本郵政、上場への前途多難 難航する大規模システム統合と、遅れる新規事業認可

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巨艦・日本郵政、上場への前途多難 難航する大規模システム統合と、遅れる新規事業認可の画像1日本郵政本社が所在する日本郵政ビル(「Wikipedia」より/Ons)
 日本郵政は来年の株式上場に向け、1兆3000億円の投資を行うことを骨子とした中期経営計画を策定した。財務省は4月14日に財政制度審議会を開き、日本郵政株式の売却手続きに関する議論を始めた。6月に答申をまとめ、秋にも主幹事証券会社を決定する。日本郵政の上場アドバイザーを務める野村證券など複数の証券会社が選ばれることになりそうだ。ただ、最大の焦点である金融2社、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式売却の議論は見送られた。日本郵政の中期経営計画でも上場の時期は示されていない。

 上場に伴い、政府が保有株の3分の2を売却した場合、8兆円が国庫に入る。郵政株式の売却益は、東日本大震災の復興財源に充てられる。

 日本郵政の西室泰三社長は会見で、「日本郵政グループの持ち株会社だけが上場されるのか、傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険も併せて上場されるのかについては、(株主である政府と)合意していない」と述べていた。持ち株会社の日本郵政は2015年春の上場を目指すことが決まっているが、金融2社の扱いは不透明なままだ。市場関係者は主幹事証券会社の選定や14年度の決算発表の時期を勘案すると、上場は早くて15年秋になるとみている。日本郵政が上場すれば連結純資産でNTTを上回り、トヨタ自動車に迫る規模になる。

 現在、日本郵政の全株は政府が保有し、さらに日本郵政が金融2社と日本郵便の株式を100%保有しているが、金融2社の上場については政権交代で二転三転した。

 小泉純一郎政権による郵政民営化法では金融2社の売却期限が定められていたが、12年に民主党政権下で成立した改正郵政民営化法では「できるだけ早期に全株を処分する」との努力規定となった。これを受け12年10月にまとめられた日本郵政の上場計画では、まず持ち株会社の日本郵政を15年度中に上場し、政府は日本郵政株を半分以上売却した後、金融2社の株式売却を検討するとなった。

 転機となったのは12年末の自民・公明党連立の安倍晋三政権の誕生だ。民主党政権が事実上指名した日本郵政の取締役はほぼ全員が解任され、13年6月に西室氏が社長に就任した。

●情報システム統合作業が難航

 日本郵政の14~16年度の3カ年中期経営計画では、15年春の株式上場に向け、1兆3000億円を投じて経営基盤を強化する。設備投資の内訳は郵便局の施設・設備改修に5500億円、コンピューターシステム刷新に4900億円、保有地を利用した商業用不動産開発に1000億円などとなっている。年間ベースで従来の2.7倍の巨額投資に踏み切り、IT基盤の整備や不動産事業の収益力の向上に努める。

 郵便事業では宅配便「ゆうパック」の取り扱いを年間4億個(13年度見込み)から16年度に5億個に拡大、市場シェア15%を目指す。小型の「ゆうメール」も32億個(同)から40億個に増加させる。

 ゆうちょ銀行は16年度末の貯金残高について、13年度末の見込み額に比べて6兆円増の183兆円を目指す。かんぽ生命保険は新契約の月額保険料を427億円から500億円に拡大させる目標を掲げた。グループ全体で巨額投資を行うため、16年度の連結純利益は13年度見込みの4200億円を下回り、3500億円にとどまる見通しだ。

BusinessJournal編集部

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