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安部徹也「MBA的ビジネス実践塾」第8回

iPhone5億台販売を実現したアップルのカテゴリー創出戦略:生産・流通モデルの変革

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(1)より快適な体験価値を提供する

 iPhoneは、指で画面をタッチしたり、なぞったりするだけで操作ができるなど、ユーザーは直感的に端末を利用することができるようになりました。

(2)機能の大幅な向上を図る

 iPhoneには、「スワイプによるロック解除」や「アドレス帳から直接電話できる機能」「タッチパネル式の音楽プレーヤー」など多くの面で、これまでの携帯電話と一線を画す機能が搭載されました。

(3)価格と価値の関係に革新を起こす

 iPhoneでは、App Storeを通して多くのクオリティの高いアプリがダウンロード可能であり、その多くが無料で利用できるということで、価格と価値の概念を大きく変えることに成功しました。

 このようにiPhoneは製品レベルで大きなイノベーションを成し遂げ、新たなカテゴリーの創出に成功したのです。

●ビジネスモデルレベルでのカテゴリークリエーション

 さらにアップルは、カテゴリークリエーションを製品レベルからビジネスモデルレベルまで高めることに挑戦し、次の3つのモデルでイノベーションを起こすことで、ビジネスの大きな成功につなげました。

(1)生産モデル(サプライチェーン)

 アップルは製品開発や設計を自社で行うものの、生産はすべてアウトソースしています。また、部品に関してはできる限り業界標準部品を使用することにより、納期の短縮やコストの削減に努めるなど、従来のメーカーとは一線を画す生産モデルを構築していきます。

(2)流通モデル(Apple Store)

 アップルは2001年にApple Storeをオープンさせ、メーカー自らが小売りを行う仕組みを築き上げます。アメリカでは平米当たりの売り上げが小売業の中でダントツ1位を記録するなど、流通モデルにおいても大きな成功を収めています。

(3)利益モデル

 アップルは生産モデルや流通モデルの革新により、利益面でも大きな変化を成し遂げました。数字的には、営業利益率で12年度の実績が28.67%を記録するなど、例えばソニーの3.38%と比べて圧倒的な利益率の高さを誇っています。

 このアップルの成し遂げた成果を目の当たりにすれば、新たなカテゴリーの製品を生み出す活動に注力し、ビジネスモデルまで革新を起こすことができれば、大きな成功を手中に収めることが約束されるといっても過言ではないでしょう。
(文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO)

iPhone5億台販売を実現したアップルのカテゴリー創出戦略:生産・流通モデルの変革の画像2
●安部徹也(あべ・てつや)
株式会社 MBA Solution代表取締役CEO。1990年、九州大学経済学部経営学科卒業後、現・三井住友銀行赤坂支店入行。1997年、銀行を退職しアメリカへ留学。インターナショナルビジネスで全米No.1スクールであるThunderbirdにてMBAを取得。MBAとして成績優秀者のみが加入を許可される組織、ベータ・ガンマ・シグマ会員。2001年、ビジネススクール卒業後、米国人パートナーと経営コンサルティング事業を開始。MBA Solutionを設立し代表に就任。現在、本業に留まらず、各種マスメディアへの出演、ビジネス書の執筆、講演など多方面で活躍中。主宰する『ビジネスパーソン最強化プロジェクト』は、2万5000人以上のビジネスパーソンが参加し、無料のメールマガジンを通してMBA理論を学んでいる。

BusinessJournal編集部

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