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日本の報道自由度は世界42位、なぜ日本メディアは異質なのか?海外から改善勧告も

文=横山渉/ジャーナリスト
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日本の報道自由度は世界42位、なぜ日本メディアは異質なのか?海外から改善勧告もの画像1「英紙ガーディアン HP」より
 4月、第98回ピュリツァー賞が発表され、公益部門で米国家安全保障局(NSA)の情報収集活動を暴露した英紙ガーディアンと米紙ワシントン・ポスト紙が受賞した。同賞は、報道・文学・作曲に与えられるアメリカで最も権威ある賞だ。

 両紙は米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン氏から得た情報を元に、NSAによる個人を対象にした情報収集活動の実態を明らかにしてきた。ロシアに亡命中のスノーデン氏は、今も欧米では重要な取材対象だ。

 しかし、日本のメディアは相対的にこの問題に対する関心が薄いようだ。昨年11月、米紙ニューヨーク・タイムズはNSAの監視対象として日本も含まれていると報じ、アメリカ政府当局者もNHKの取材に対し、NSAが日本国内に通信傍受の施設を設けて活動していることを明らかにしている。

 これら報道に対し、小野寺五典防衛相は「あくまで報道があったということで、米政府がそのようなことを言っているとは承知していない。同盟国との間も含め、さまざまな友好国との信頼を傷つけるような行為は決して望ましいことではない。報道は信じたくない」とコメントした。メルケル独首相は、自身の携帯電話がNSAに盗聴されている疑いがあると報道されたとき、激怒してオバマ米大統領に直接電話で説明を求めたというから、小野寺大臣の“やさしさ”にはアメリカ政府も感謝しているに違いない。ちなみに、菅義偉官房長官も「安倍首相は盗聴されていない」と断言している。

●当局からの圧力をはねのけた海外メディア

 ピュリツァー賞を受賞した両紙には、当局からの相当な横やりも入っていたようだ。例えば、ガーディアン紙は、記事掲載の約2週間後に英国当局からスノーデン氏より受け取ったすべてのデータを引き渡すように圧力をかけられたそうだが、同紙はすべてのデータを破壊したといわれている。そうした障害を乗り越えて国家犯罪ともいうべきアメリカ政府の諜報活動を暴露した両紙だが、翻って日本の大手メディアはどうだろう。

 よく引き合いに出される、有名な1972年の西山事件を振り返れば明らかだ。72年の沖縄返還の際、地権者に対する土地原状回復費400万ドルを、公式発表では米国が支払うことになっていたが、実際には日本政府が肩代わりして米国に支払う密約があるとの情報を毎日新聞社政治部の西山太吉記者がつかんだ。そして、これを社会党議員に流したところ、社会党は国会で政府を追及した。東京地検特捜部は、西山氏が情報源の外務省女性事務官に酒を飲ませて性的関係に及んで情報を入手した疑いがあるとして、2人を国家公務員法違反で逮捕した。当初は他紙も政府を言論弾圧と非難し、西山氏を擁護していたが、女性誌やテレビのワイドショーは男女のスキャンダル事件として扱うようになり、問題がすり替えられていった。裁判においても、審理は男女関係の問題、機密資料の入手方法の問題に終始し、78年に有罪が確定した。この「問題すり替え」を画策したのは当時の佐藤道夫検事(後の民主党参議院議員)で、多くのメディアはまんまとそれに乗せられた格好になった。

 2009年9月に誕生した民主党政権の岡田克也外務大臣は、日米間の密約の存在を認め、その後、西山氏に謝罪している。西山氏が社会党議員に情報を流したのはまずかったが、毎日新聞や他の新聞社が西山氏を支えなかったために、その後の政治報道の衰退を招いたといわれている。

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