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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第27回

パナホーム、高齢被害者女性を提訴、強引に契約催促、架空請求、書類偽造の疑い

文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト
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●強引な勧誘~契約へ

 しかしその後、パナホーム側の姿勢は段階的に強引になっていった。Aさんが資金計画の説明を受けて書類を受け取る際も、「残りの4棟も進めましょう」「すぐに決めてください」「いくらなら契約してくれるんですか」などと迫られたが、Aさんは「金額の大きな契約だから、すぐには決められない」と、即答は避けた。

 4月下旬のある日の夕方、BとCはAさん宅を訪れた。Aさんは書類を受け取るだけのつもりだったのだが、Cから「まったく時間がないんですか? 少しだけ喫茶店で話をしませんか?」と強引に迫られ、自宅近くの喫茶店で話をすることになった。

 そこで「工事請負契約依頼書」を提示され、「これにサインして、お話を進める意思があることを示してください。契約の効力はありませんから」と言われ、Aさんはサインを迫られた。サインしなければ帰してもらえない雰囲気を感じたAさんは署名し、22時頃になってようやく解放された。

 翌月、Bより「樹木の移植を考えたら、梅雨前にやらないといけない。今からでも遅いくらいです」と、またもや契約をせかす連絡が入った。Aさん一家はパナホーム側から提示された資金計画書に基づき、500万円の自己資金を投入して計画を進めようと考えていた。ただし、残りの資金は銀行から融資を受け、建った家はパナホームが一括借り上げをし、返済しても利益が出るという前提に立った上での話だ。その旨は計画書にも明記されており、Aさん一家は疑いを持っていなかった。

 Aさん一家はパナホーム本社に出向き、2期分の工事契約書に署名捺印し、正式に契約を締結した。パナホーム側からは、銀行融資の手続きなどについて何も案内も情報提供もなかったため、パナホームと提携先の金融機関との間で調整が進んでおり、手続きは問題なく進めてくれているものとAさんは思っていた。Aさんにとっては資金面が最大の問題であったため、もし融資が下りなければ、契約する気はなかったからである。

 この時、総工事費についてパナホーム側から説明があったが、具体的な工事内容と、費用各項目の明細や、プランの具体的な内容については説明がなかった。また工事見積書にも、工事代金の支払い時期は明示されていなかった。

●着工したが、融資は下りず

 同年6月より、工事の準備として当該土地に繁茂する植物の伐採作業が始まった。AさんはBとも連絡を取り続けていたが、その頃からBより3期分、4期分の工事契約についても強く勧められるようになる。

 ある日突然Bから「どうするんですか? 請求が発生しています。現金なら今月、融資なら来月支払ってください」と要求された。Aさんは驚きつつも、工事費用はパナホームが提携している銀行から融資を受けられたら支払うと伝えた上で「早く銀行に行きましょう」と言ったところ、その場でBは銀行担当者に連絡して約束を取り付け、1週間後にB、Cと共にAさんは住友信託銀行本店を訪れて融資の申し込みをした。

 それから約2週間後、銀行担当者から連絡が入り、「融資が出せない。一度お会いして話がしたい」と言われた。パナホームと銀行で話を詰めてくれていると思っていたAさんは、融資が出ないとの回答に驚き落胆した。その旨をBに報告したところ、Bは「では、違う銀行にお連れします」答え、他の銀行に融資を依頼したが、そこでも断られた。

 そのような状態であったため、Aさんは仕方なく自身でも近所の銀行に電話し、融資可能か問い合わせた。しかし、いずれの金融機関も融資は難しいとの回答で、担当者からは「普通は融資相談をして、仮審査が通ってから、契約・着工するものですよ」と教えられ、パナホームの進め方がおかしいことに気づいた。

 翌月、パナホームの営業所責任者としてD所長から電話が入る。Aさんは所長が出てきたことで、きちんと対応してくれるものと期待したが、その後も状況は好転しなかった。AさんはD所長に「この支払いは絶対にしないといけないんですか?」「契約前に銀行できちんと申し込みしておくべきだったのではないですか?」と質問したが、D所長まで状況をきちんと理解していないようで、「わかりません」と答えるばかり。

 そのような状況の中で、Bから「定期預金を解約してでも支払ってください。当社は、今月決算なんです」と、しきりに電話がかかってきた。Aさんは「すでに工事が始まっている以上、定期預金を解約してでも支払わないといけないのではないか?」と悩むが、そもそも事前に融資が必要と伝えていたにもかかわらず、契約前にきちんと銀行に手配しておかなかったBの進め方に原因があると考え、定期を解約することまではせず、手持ちの資金を集めて200万円を支払った。

 その後もD所長と共に何度も銀行を訪問したが、D所長は建物の建築計画や資金計画を把握しておらず、銀行側にまったく説明できなかったため話が進まなかった。挙げ句の果てには銀行の担当者から「もう建築しないほうがいいのではないですか?」と言われる始末だった。

 このような経緯から、結局は建築費用を支払うための融資を受けることはできず、工事は中止せざるを得なくなってしまった。

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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