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平安女学院大学、倒産寸前から再生で就職率100%達成 “大学のゴーン”が狙う次の一手

井上久男/ジャーナリスト
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●働かない教員を退場させた平安女学院

――平安女学院の理事長に就任して、どのような改革をされてきましたか?

山岡景一郎氏(以下、山岡) 私が就任した頃は巨額の財政赤字で潰れる寸前、いや実情は潰れていました。そんな状態でも違法な借金をして、京都市内でも断トツの高額な給与を教職員に払い続け、退職金も高水準でした。労働組合管理の経営だったといっても過言ではないでしょう。そして、教育も研究もろくにしていない教員が多くいました。そこに私はメスを入れたのです。

 私は、不平だけ言って教育熱心でない教員には退場してもらいました。大学でいったん教員の身分を得られれば、不祥事でも起こさない限り、働かなくてもクビになることはありませんので、教員の大整理はこの世界にとって珍しいことです。だから日産のゴーン社長と対比されているのかもしれません。さらに、優れた人材を採用する権限が理事会になく、教授会が学問の自由を盾に教員の採用権を持っていました。これも覆しました。誰を採用するのかは学問・教育上だけではなく、大きな経営マターです。だから理事会が決定権を持つようにしました。

 こうして財政改革、組織改革をしながら、大学の本分である教育改革に着手しました。その内容は、一言でいえば、特色ある教育の展開です。率直に申し上げて、平安女学院は偏差値の高い大学ではありません。しかし、誰もが東京大や京都大のように偏差値の高い大学に行けるわけではありません。うちの大学に来てくれた以上、立派な社会人になれるような素養を身に付ける教育を徹底しようと考えました。

 立派な社会人とは、大企業に就職することだけではなく、立派な親になれる素養をもった人間だと私は思っています。うちは女子大学ですから、立派なお母さんになれる人材を育てたいと思っています。明るくて気配りができて、思いやりがあり、我慢強く、献身的な努力ができるような人材のイメージです。平安女学院では「貴品女性」という大学のブランドをイメージするような造語をつくり、そのような女性になるために、実学と教養教育を強化し、お茶やお花など文化や歴史を学ぶ講義も重視して展開しています。財政が厳しい中、旧有栖川宮邸を買い取り、そうした講義などに活用しています。

 教養教育重視は、今の日本の大学教育で欠けている部分だと思います。平安女学院ではこうした教育を強化した結果、卒業生は積極性とコミュニケーション能力が高く、責任感も強い人材が多いと社会に評価され、それが就職率向上につながりました。現在の就職率は2年連続で100%です。

●税金使ったマンモス大学優遇に喝

――最近では「小規模大学連盟」の立ち上げ活動の中心となり、文部科学省などに対して、小規模大学の生き残り支援を訴えていますが、この活動の狙いはなんですか?

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