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食品添加物、残留農薬…体内で相乗毒性、人体に異常起こす可能性 食品安全委員会は静観

文=小倉正行/国会議員政策秘書
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食品添加物の複合曝露による健康影響については、多数の添加物が使用されていても、実際に起こりうる可能性は極めて低く、現実的な問題ではなく、理論的な可能性の推定にとどまるものである。直ちにリスク評価を行う必要のある事例も現時点ではなく、個々の添加物として評価されている影響を超えた複合的な影響が顕著に出ている事例は見いだされなかった。現在、食品添加物はADI(一日摂取許容量)の考え方を基本として個別に安全性が審査されているが、複合影響の可能性を検討する際にもこのアプローチは有効であり、個々の食品添加物の評価を十分に行うことで、食品添加物の複合影響についても実質的な安全性を十分確保することが可能であると考えられた」

 食品安全委員会はこの報告書に基づき、相乗毒性について、さらに検討する構えもない。

●英国などでは問題の着色料の使用を禁止

 もともと相乗毒性で問題とされているのは農薬を中心とする化学物質であるが、私たちは残留農薬というかたちで、農薬成分を摂取している。この残留農薬の相乗毒性問題は、1990年代から科学者が問題視し、さまざまな研究が行われてきた。97年度厚生科学研究「残留農薬の相乗毒性に関する薬物動態学的研究」(主任研究者・大野泰雄)、97年厚生科学研究「農薬の低濃度曝露による影響に関する調査研究―農薬の複合作用による神経毒性に関する研究」(同・黒川雄二)の研究成果では、複数の農薬同士や農薬と薬物との相互作用、相乗毒性の可能性があることが明らかにされた。

 さらに、07年には「食品中の合成着色料や保存料が子どもの多動行動を増加させる」という報告が、英医学誌「Lancet」(9月6日号)に掲載された。食品添加物と多動との関係はこれまでも疑われてきたが、直接の関与を示した研究はこれが初めて。

 この研究は英国食品基準庁(FSA)の資金で、英サザンプトン大学のジム・スティーブンソン氏らが行ったもの。3歳および8、9歳の2グループ、297人の小児に食品添加物(保存料、合成着色料)を含む混合飲料を与え、対照群として一部の小児には添加物なしの飲料を与えた。添加された保存料の安息香酸ナトリウムは、「コカ・コーラ」や「ダイエットペプシ」ほか、多くのフルーツ飲料に含まれるもので、過去の研究で細胞の損傷や癌(がん)の増加につながることが示されている。

 着色料は、サンセットイエロー(E110、黄色5号、フルーツ飲料に含有)、アゾルビン(Carmoisine 、E122、日本指定外、赤色、ジャムに含有)、ポンソー4R (別名ニューコクシン、E124、赤色102号)、タートラジン(E102、黄色4号、炭酸飲料に含有)、キノリンイエロー(Quinoline yellow、E104、日本指定外、黄色)、アルラレッド(E129、赤色40号)であり、添加物の量は市販の飲料と同様で、おやつ1、2回分の菓子類に含まれるのと同程度とした【編註:E番号は主にEUで用いられる添加物の分類番号】。6週間の試験期間で、どちらの年齢グループも、添加物入り飲料を飲んだ場合、多動行動(通常の小児以上に動き回ったり落ち着きのない行動を繰り返すこと)を示すことが有意に多く、注意持続時間が短いという結果が得られた。特定の添加物が特定の行動を生じさせるかどうかは不明であった。

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