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声優、熾烈競争の世界 情報番組のナレーションは生?驚愕のスキル満載

文=尾藤克之/経営コンサルタント
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●相手の意図を汲み取るコツ

–仕事で特に重要視していることはなんですか?

寺瀬 声優の仕事で最も大切なことは、自分の好きなようにナレーションや役を演じることではなく、制作サイドが求めている声を出すことです。声優は自分発信の仕事というより、相手発信の仕事だと私は思っています。そのためにも、声の引き出しを多くするトレーニングをしています。これは、普段のコミュニケーションにも役立ちます。

 例えば、声のバリエーションを持つことで、相手の反応はぐっと変わります。大切なワードは囁くように話し、相手に覚えてもらいたいことは低いトーンで話すなどの変化をつけると、相手の記憶に残りやすくなります。必要なのは声の変化の調整能力です。根底にあるのは、自分の好きなように読むのではなく、制作者の意図に合わせるという意識です。

–制作者の意図を読み取るコツなどはありますか?

寺瀬 現場では、すぐに仕事に入るのではなく、一見無駄だと思うような世間話をしたり、その作品に関する制作者の思いや考えを聞いたりします。その会話の中で、相手のタイプや、望んでいるものがわかってきます。滑舌を一番に要求しているのか、声の味を要求しているのか、また、制作者の性格が、ゆっくりじっくりタイプなのか、てきぱきタイプなのかなども見極めてから仕事を始めるようにしています。

–仕事を円滑に進める秘訣などはありますか?

寺瀬 台本を渡された時は、すぐに目を通します。ほかの用事があっても中断して、その仕事に取り組む姿勢を見せることで、相手に「この仕事が一番大切だと考えている」と伝えることができます。

–声優として、寺瀬さん独自のテクニックはありますか?

寺瀬 声に動作と視線を乗せるようにしています。声がそのシュチエーションにマッチしていれば、動作と視線が合っていることになります。例えば、洋画の吹き替えをする時には、食事をしながら話しているのか、椅子から立ち上がりながら話しているのかなどの状況を必ずチェックします。その動作をイメージしながら演じると、セリフにリアリティーが生まれるのです。普段の生活の中で、顔を合わせていなくても、会話の最中に体や気持ちが相手に向いていなければ、なんだか嘘っぽいなという印象を与えてしまいます。

–ありがとうございました。

 声は心の鏡。その人の心の奥にあるものを感じさせます。「いい声」を目指すのではなく、表情豊かな声や話す内容と表情をマッチさせることを意識すれば、人の心を惹きつけ、信頼を得る大きな武器になります。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)

●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。

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