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ヤマダ電機、社員過労死裁判で遺族に真っ向反論、長時間労働を完全否定「労災認定は誤認」

文=佐藤裕一/回答する記者団
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ヤマダ電機、社員過労死裁判で遺族に真っ向反論、長時間労働を完全否定「労災認定は誤認」の画像1ヤマダ電機本社のロゴ。群馬県高崎市の本社エントランスで
 家電量販トップ、ヤマダ電機の新任フロア長だったAさん(仮名、当時23歳)が2007年9月、昇進から約1カ月後に過労自殺した問題をめぐり昨年末、損害賠償などの支払いを求める遺族が会社を訴え、前橋地裁高崎支部で係属中だ(8月10日付当サイト記事『ヤマダ電機、過労自殺社員の遺族が提訴 週間残業47時間、精神障害を発症か』)。責任を認めないヤマダ電機は全面的に争う姿勢を示しており、労災認定そのものが事実誤認による誤った結論と批判する。

「協力する気がないということですね。結局使い捨てですよ」

 そう話すのは、死亡したAさんの兄、Bさんだ。

 家族を代表してヤマダ電機との交渉を担ってきたBさんによると、「あの勤務時間は異常としか思えない」「過労自殺に当たるのではないか」として調査を求めたところ、ヤマダ電機は死亡3カ月後の時点で、「業務と自殺の因果関係は乏しい」として、労災ではないとする考えを伝えてきたという。

 現在までに、遺族に対してヤマダ電機からは謝罪もないという。

「社長名での献花はありましたが、謝罪はないですね。地域の統括責任者のような人が、店舗事務所で頭を下げられました。しかし、その人も会社に使われている立場ですからね」(Bさん)

●正社員登用から1カ月後に死亡

 Aさんが死亡したのは、07年9月19日未明。新潟県柏崎市の新店舗、テックランド柏崎店がオープンする2日前だ。

 Bさんの元に第一報が伝わったのは、祖母からの電話だった。

 「仕事中に祖母から電話があり、『(Aさんが)病院に運ばれた。死んだみたいだ』と言われた。何を言っているんだと思った。夕方、『本人確認が取れた』と父から連絡があり、新潟の実家に帰りました」

 実家に帰るとAさんが横たわっていたという。

 Aさんさんは約1カ月前の8月16日に、ヤマダ電機の契約社員から正社員になったばかり。Bさんは「有名企業だし、決まってよかったね。おめでとう」とメールを送ったという。

 9月21日にオープンする柏崎店の管理職(フロア長)に抜擢される話が先に決まり、フロア長以上は正社員とする人事制度に合わせるかたちで正社員に引き上げられた。

 しかし、専門学校を卒業後、04年末に20歳でヤマダ電機の契約社員になるまでフリーターをしていたAさんにとって、初めての正社員、同時に初めての管理職だった。

「正社員になっていきなり管理職ですから、無理な話です」とBさんは話す。

 葬儀では、若い同僚社員が泣き崩れたそうだ。

 労災認定した柏崎労働基準監督署の調べによると、死亡前1カ月の残業時間は106時間21分に上り、特に忙しくなった新店舗開店直前は1週間で47時間30分に達した。精神障害を発症し、自分が何をすればいいかわからなくなり、フロア長としての職責を果たせなくなっていたという。

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