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気鋭のバイオベンチャー、内紛で社長降格 規制緩和等の追い風に乗れず、もたつき

文=編集部
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気鋭のバイオベンチャー、内紛で社長降格 規制緩和等の追い風に乗れず、もたつきの画像1「Thinkstock」より
 免疫細胞療法の支援を行うバイオベンチャーであるメディネット(2370)に内紛が勃発している。事の発端は今年7月31日に鈴木邦彦社長が「本人の申し出による一身上の都合」を理由として取締役に降格し、後任に伊木宏取締役が就任するとの発表だった。鈴木氏は昨年11月に社長に就任したばかりでいぶかる声があったものの、関係者の間では体調不良ではないかと観測されるなど、特段問題視はされなかった。

 ところが同社の創業者で会長の木村佳司氏が、会社側に臨時株主総会の招集請求を送付。8月22日には木村氏が記者会見を開き、鈴木氏が解任されていたことを明らかにしたのである。木村氏が送付した臨時株主総会の請求内容は、伊木氏と取締役管理本部長の原大輔氏の解任。さらに有識者を含めた取締役6名の増員などとなっている。理由は細胞医療が重要な段階を迎えているのに、企業価値を省みない両名が不適格な人材だとしている。これを受けて伊木氏サイドは当初10月としていた社長就任時期を8月28日に前倒ししている。

 伊木氏サイドも木村氏や鈴木氏に対し、同じような反論を繰り広げている。内実は不明だが、海外展開などをめぐって対立が先鋭化したとの観測もある。いずれにしろ、創業者支持派vs.脱創業家という内輪の争いだ。臨時株主総会は11月20日までに開催されることが決議され、当日の攻防に関心が集まっている。

●新法で環境的には追い風

 免疫細胞療法とは、がん患者の弱った細胞を取り出して活性化させたり、がん細胞を特異的に攻撃する樹状細胞などを加えて患者の体内に戻す療法。がん治療は外科手術、薬の服用、放射線療法の3つが主流で、第4の治療法として注目されている。免疫細胞療法をめぐっては、昨年秋に「再生医療新法」と「改正薬事法」が成立。今年11月からの施行が決まっている。細胞の加工はこれまで、病院内の施設で行わねばならず、外部に持ち出すことは不可能だった。新法の施行で、細胞の加工を外部施設でできるようになる。

 同社ではこれをにらみ、東京都・品川区に細胞加工施設を新設して、来年から稼動させる予定となっている。加工業者は厳しく選別されるため、玉石混交だった免疫細胞の医療機関の中で不透明な機関は淘汰される。これにより療法の信頼感が増すとともに、最終的には保険適用も視野に入るなど、環境的には追い風が吹いている。

 こうした状況下での内紛の表面化は、いかにもタイミングが悪いといえそうだ。株主や関係する医療機関などからは、早く正常化して企業価値の向上や、待っている患者に対応してもらいたいという声が聞こえそうだ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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