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ヘイトスピーチ規制、なぜ難しい?曖昧な規制基準、公権力がお墨付きを与える危険も

文=大石泰彦/青山学院大学法学部教授
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 このような政治家によって主導されるヘイト規制法がどのような内容のものになり、どのように運用されるのか。不安が期待を大きく上回ってしまう。

「われわれ国民がこのレベルなのだから、政府もこのレベル」といってしまえばそれまでだが、もちろん話はそれでは済まない。国際社会は、われわれが考える以上に、この問題にはナーバスなのである。国内で気持ちよく隣国叩きをやっている間に、国際社会では孤立していた、といったことを「再び」繰り返してはならない。日中戦争、そして太平洋戦争への突入する入口となった、日本の国際聯盟脱退(1933年)の絵柄が目に浮かぶ。

 まずは、政策の指針となる「反ヘイト基本法」を制定し、他民族・外国人の生活を脅かす行為に政府が手を貸さない、つまり公権力がヘイトスピーチデモ(集会)を許可できない状態を迅速に作ること。そして、メディアに対しても、一定期間で改善が見られないならば流通・販売の方式等の面で自重を求めること。まずこれらを行ったうえで、刑罰によって規制すべきヘイトスピーチの内容・形式を画定する作業をあせらず、慎重に進めることが、現在の国の現状を鑑みると比較的安全で賢明な対処法ではないだろうか。ただし、諸外国の趨勢からすれば、このレベルでは甘すぎることはいうまでもない。
(文=大石泰彦/青山学院大学法学部教授)

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