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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏(10月23日)

“熱い”スーパー銭湯業界、あの人気店の秘密とは?多彩な日替わりサービス、法人客開拓…

文=高井尚之/経済ジャーナリスト

 平日午後は高齢層が多いが、若い世代もいたので話を聞いてみた。

「学校の帰りに時々寄ります。いろんなお風呂が楽しめるので、リラックスできます」(大学生

「仕事の休みは平日なので、思い立った時に来ます。住まいは沿線で少し遠いのですが、もっぱら浴香蒸風呂を目当てに来ています。いろんな施設に行きましたが、これだけ温度の高いものは珍しい」(小売業の会社員)

 この会社員が好きな浴香蒸風呂は、天然ハーブを用いており、中に入ると蒸気が充満して一瞬、視界が見えなくなる。「慣れない方は熱くて、すぐに退出されますよ」と笑っていた。

 ほかに人気があるのは、露天のつぼ押し湯(寝湯)で、5人収容できる広さがある。休日は込み合うようで「交代でお使いください」と表示されていた。

 サウナもイメージしていたよりも広く、ざっと数えて30人ほど収容できる。大きな壁時計は10分計時のアナログ画面で、よくある砂時計や小型時計よりもわかりやすい。

 別の日に足を運んだ時は、常連客同士で談笑していたが、両日ともに1人で楽しんでいるお客が多い。行った限りでは木曜日よりも金曜日のほうが若い世代の割合が多かった。

 ちなみに入館料は、大人で平日860円(会員750円)、土日祝日1000円(同900円)だが、フロントにはクーポンが置いてあり、割引価格でリピートできるようになっている。時期によって割引価格は異なるが、今回置いてあったのは、一般価格で平日550円、土日祝600円となるクーポンだった。

●リピーターと法人客の獲得を狙う

 極楽湯のコンセプトは、同社によれば「健康」「癒し」「心からのおもてなし」で、「子供からお年寄りまで三世代が楽しめる施設を目指している」という。そのため、来場客を楽しませる工夫を随所に凝らす。

 例えば、多摩センター店の館内には、1000円カットの理容室や、整体、足つぼ、韓国式あかすりのほかにゲームコーナーもある。休憩場所には新聞や雑誌も揃えてあり、特に女性誌は充実している。

 また、家族連れが多い土日祝日には、巨大プラレールを運行したり、「お子様紙芝居」「お子様じゃんけん会」といった子供向けイベントも開催される。

 温浴施設にも工夫を凝らしている。10月には女性客向けに期日限定の「バラ風呂」を実施している。ほかにも毎週木曜日は「生薬漢方デイ」として生薬を入れた風呂を提供している。それだけではなく、定期的に「メンズデイ」「レディースデイ」として入館料を割り引く日もある。いずれもキーワードは「日替わりサービス」だ。

 飲食メニューについても、同社が「居酒屋に匹敵する」と自信を見せるほど充実しており、日替わりランチなどの食事をはじめ、入浴後のビールも人気となっている。

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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