パチンコ「衝撃筐体」が生むデメリットとは…… 「爆音」「強烈光線」にユーザーの不満は最高潮に
強まる出玉規制によりゲーム性の幅は狭まり、スペックは著しく低下。また、ユーザーを魅了する映像演出は「3D演出」「導光板」といった多種多様な表現方法がすでに用いられており、スペック面や演出面の進化は見込めない状況だ。
そうした状況のなか、各メーカーは残る手段として「筐体」開発に注力する動きが多くみられている。
今年2月にサンセイR&Dは新筐体『ライジングサンセイ』を発表。筐体上部に「リトラクダブル」「ライジングトップギミック」などインパクトある役物を新たに搭載し、これまでにない衝撃的な筐体を作り上げた。
さらに、来月導入予定の『パチスロFAIRY TAIL』(藤商事)は、液晶画面2枚で構成される「可動式液晶」を初搭載。片一方の液晶画面が筐体から飛び出る仕様で、役物と液晶を一体化するなど前代未聞の仕様となっている。
このように心揺さぶる「新筐体」でファンを取り込もうとする各メーカー。斬新性のない既存の筐体よりも、目新しさに惹かれるのは自然ではあるが……。
筐体の進化が弊害を生むことも事実だ。今月20日『遊技通信WEB』が現在問題視されている「遊技機の仕様」について報じている。
「ホール団体『全日遊連』がメーカー組合『日工組』『日電協』に対し、パチンコ・パチスロ機の「音量と光量の調整機能」に関する要望書を提出したそうです。
『全日遊連』が行ったアンケートの結果、パチンコホールに対する不満のひとつに『大きすぎる音』や『眩しすぎる光』が挙げられ、音量の上限を制定する旨を要望したとのこと。
また、すでに各メーカーが実施済の『音量・光量の調整方法』がメーカーによって異なっていることも指摘したようです。
筐体の進化とともに、機械から放たれるBGMやSEはより刺激的になっていますし、役物や筐体に搭載されているランプも同様に目が痛くなるほど。ユーザーの不満が募るのは当然ですよ」(記者)
嫌悪感を抱くほどの音量や光は従来から問題視されてきたことであり、多くのファンから是正を求められていた。
では、なぜメーカーは遊技者の意向を考慮しない「筐体」を作り続けてきたのだろうか。
「大きな要因として考えられるのは、やはり多くのユーザーが斬新性を求めていることでしょう。人気シリーズ作となれば、前機種をより進化させた作りが求められます。それはスペックやゲーム性だけではなく、筐体も同様です。そして、新機種のたびに派手になっていき、エスカレートしてしまったのかと。
この他に想定されるのが、イメージの一新ですね。長年不作が続く筐体で販売し続けると『またこのメーカーの新台か……』と悪い印象が残り続けるでしょう。そうしたイメージを払拭するべく、新たな筐体で挽回を図るメーカーはあると思いますよ」(同)
筐体の進化は『音量・光量』の弊害だけではなく、機械台の高騰も生んでいる。数十年前では20~30万で購入できたパチンコ台は、今では40万円を超える価格で販売されているようだ。
このしわ寄せは当然ながらユーザーが負担することになる訳だが、斬新性を求める以上、価格の高騰はやむを得ないといえる。
メーカーとユーザー、双方が納得する「パチンコ台」は果たしていつ完成するのだろうか。現状を見る限り、この「負のスパイラル」を断ち切ることは難しそうだ。
(文=編集部)
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