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総住宅数の1割以上…空き家問題、なぜ深刻化?国と地方が法整備等で対策へ本腰

文=安積明子/ジャーナリスト
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総住宅数の1割以上…空き家問題、なぜ深刻化?国と地方が法整備等で対策へ本腰の画像1「総住宅数、空き家数及び空き家率の推移」(「総務省 HP」より)

 少子化や過疎化に伴い、空き家が増加している。総務省の統計によれば、2013年の総住宅数は5年前から305万戸増加して6063万戸。空き家数は820万戸にも上る。空き家率は実に13.5%と、過去最高を記録した。空き家率が最も高い都道府県は17.2%の山梨県。以下、愛媛県の16.9%、高知県の16.8%、徳島県と香川県の16.6%と、高順位に四国4県が続いている。

「一刻も早く、対策を打たなければなりません」。こう危機感を募らせるのは自民党の大野敬太郎衆院議員だ。大野氏は香川3区選出で、小泉政権で防衛庁長官を務めた大野功統氏を父に持つ。地元を歩いていても、空き家は目立っていると話す。

 全ての家屋を別々の人が所有しているわけではない。中には複数の住宅を保有している人がいる。彼らがそれらの物件をきちんと第三者に賃貸できていれば「空き家」にはならないが、人が住まないまま放置されている住宅が増加しているのだ。そのような建物は劣化が進み、資産価値が下がり、ますます人が住まないという悪循環に陥っていく。いっそのこと取り壊すべきなのだが、解体するにも費用がかかる。

 さらにネックになっているのは税制上の問題だ。更地にすると、固定資産税が最高で6倍にも増額してしまうこともある。駐車場などとして利用して経済的な利益を得ることができるなら別だが、何も活用できない不動産なら、所有者にとっては建物を壊さないまま放置する方が安上がりということになる。だが管理のされていない空き家は周囲の景観を損ねてしまうばかりか、屋根や壁が崩落する危険があるし、ゴミの不法投棄場や、放火・不法侵入など犯罪の温床にもなりかねない。

 もちろん現行の建築基準法によれば、著しく保安上危険または衛生上有害な建築物については、所有者や管理者に除去や修繕などの必要な措置を命じることができる。所有者が履行しない場合は代替執行も可能としている(第10条)。しかしその要件は明確ではなく、除去も最小限にとどまる。

「これまでの法律は建物を造ることを中心に考えていて、壊すことはあまり考慮しなかった。それが空き家問題の根本的な原因です」

 問題の根源に法整備の不備があると大野氏は述べる。

●動きだす行政

 もちろんこれまで行政も、手をこまねいていたわけではない。昨年10月現在で272の自治体が条例を制定し、空き家問題に対処しようとしている。その先駆けになったのが埼玉県所沢市だ。

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