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安倍政権、危険な恫喝&言論弾圧体質が露呈 自民党の選挙報道“要望”に屈するテレビ局

文=編集部、協力=服部孝章/立教大学社会学部教授
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 また、服部氏は、同文書を渡されたテレビ各局の対応について、次のように問題視する。

「テレビ各局は同文書を受け取った当初、その事実を報道していなかった。11月27日になってその事実を知った朝日新聞、毎日新聞、西日本新聞、共同通信などが取材報道を始めたが、この時点で文書がテレビ局に渡ってからすでに1週間が経過していた。その間にテレビ各局は『自粛』を検討していたであろうか。実際に、これまで天皇制や差別などタブー視されがちなテーマに果敢に取り組んできた『朝生』ですら、民間識者の出演がキャンセルされるという事態が起こっている。

 同文書には『過去においては、具体名は差し控えますが、あるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあったところです』との記述がある。これは1993年のテレビ朝日の総選挙報道が国会証人喚問に発展した『椿問題』を指しているとみられるが、当の同局は現時点では無反応の姿勢であり、報道機関としての姿勢が問われている」

●「言論の自由」を脅かす懸念

 さらに服部氏は、今回の自民党の行為は、今後具体化が予想される憲法改正論議などへ悪影響を及ぼすばかりか、「言論の自由」を脅かしかねない懸念を指摘する。

「同文書の要請内容は、出演者の発言回数・時間、ゲスト出演者選定、特定の立場から特定政党出演者への意見集中の回避など細部にわたる。街角インタビューについては、資料映像で一方的な意見に偏ることがないように、という要請までなされているが、こうした要請自体『不遜』である。

 今回の文書により安倍政権は、市民や報道機関による批判に不寛容で、批判や反論を受けて応対する度量を持たないことを国内外に発信した。実態はテレビ局への恫喝であり、偏向報道と決めつけるのはまさに捏造である。公党がこうした文書を出したこと、そしてそれを受け取ったテレビ局の沈黙から、私たちは政治的貧困とメディアの鈍感さを認識する必要がある。でなければ、今後憲法改正論議が具体化した際に意見表明するメディアを失い、『言論の自由』を絵に描いたお題目にしてしまうだろう」

 今回の自民党の要望書がメディア報道に委縮をもたらし、有権者が多角的な情報を入手する機会を損なわせるとしたら、同党の行為は批判を免れ得ないものといえ、今後大きな議論に発展する可能性もあるだろう。
(文=編集部、協力=服部孝章/立教大学社会学部教授)

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