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株式市場が懸念しているのは、鹿島らに今後どれだけの金銭的負担が生じるかという点だ。JV各社は11年3月期に800億円の工事損失引当金を計上したが、それでは済まない。未払い代金は1000億円を上回っているからだ。
損失は、出資比率に応じて負担するのが原則だ。出資比率は鹿島と大成建設がそれぞれ37.5%、西松建設が15%、安藤ハザマが5%だ。今年9月末時点の工事損失引当金は鹿島が410億円、大成建設が450億円、西松建設が32億円、安藤ハザマが22億円。これには国内工事の引当金も含まれるが、大半はアルジェリアの工事に関する引当金とみられている。出資比率は同じなのに、これまで鹿島と大成建設の引当金に大きな差があった。鹿島は7~9月期に引当金を積み増した。「アルジェリア高速道路の工事代金の回収は一段と遠のいた」(市場関係者)との見方が広がっている。
20年の東京五輪開催でゼネコンに追い風が吹く中、鹿島の苦境が目立つ。鹿島は建築部門の工事採算を示す完成工事総利益率(粗利益率)が低下傾向にあり、これが業績の下方修正に直結した。株式市場は「ネガティブサプライズ(悪い驚き)」が続く鹿島に失望している。いつ業績回復の確かな足取りを示すことができるのか。スーパーゼネコンの中で、鹿島だけが取り残される懸念が出始めている。
(文=編集部)
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