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『ムカつくことには合理性がある~若き老害・常見陽平が吠える』(12月21日)

バカで屈辱的な宴会芸は、最高の新人教育である やりすぎると怒られ、真面目だとスベる

文=常見陽平/評論家、コラムニスト、MC
バカで屈辱的な宴会芸は、最高の新人教育である やりすぎると怒られ、真面目だとスベるの画像1「Thinkstock」より

●今年の宴会芸は「ようかい体操第一」で決まりなのか?

 いやはや、私は戸惑っている。『妖怪ウォッチ』ブームに関してだ。間違いなく、今年のヒット商品といっていい。先日発表された2014年度の「ユーキャン新語・流行語大賞」でもベストテン入りしていた。おもちゃもゲームも大ヒット。特に玩具は品薄状態で、バンダイナムコグループは決算発表会やHP上でもお詫びしていたが、いまだに入手困難な状況のようである。
 
 いや、元玩具メーカー社員としては、新しいキャラクターがデビューし、しかも大ヒット商品になったのは嬉しい。今年はガンダム、戦隊もの、仮面ライダーなど既存のキャラクターも話題がいっぱいだし、商品も売れている様子だ。少子化、デフレなどといわれつつも、キャラクターや玩具も盛り上がっているということは嬉しい。

バカで屈辱的な宴会芸は、最高の新人教育である やりすぎると怒られ、真面目だとスベるの画像2『リクルートという幻想』(常見陽平/中公新書ラクレ)

 ただ、この妖怪ウォッチが宴会まで侵食しているとなると、いろいろと言いたくもなる。そう、今年の忘年会の宴会芸も『ようかい体操第一』が大人気になりそうなのだ。筆者はこの春に大学院を出たので、25歳くらいの社会人1年目の友人が多数いる。彼ら彼女たちと会うと「忘年会のようかい体操第一の練習が大変だ」と漏らす。サンプル数が少なすぎるのでほかの会社員の知人たちにも聞いてみたが、宴会芸で『ようかい体操第一』を演じる会社はどうやら多いようである。もちろん、正確に調査したわけではないのだが。

 これもまた、妖怪ウォッチの「商品」としての強さを感じる。どこを切っても売れて、長続きするコンテンツだと思う。

 そして、流行る宴会芸的なものは参加型、盆踊り型だと再確認した。昨年流行ったAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』も、10年くらい前に流行った松平健の『マツケンサンバ』も参加型だ。その要件を満たしている。あっぱれ!

 とはいえ、妖怪ウォッチ一色かと思うと、文句の一つも言いたくなる。もっとほかに宴会芸はないのか、と。

常見陽平/千葉商科大学准教授、働き方評論家

常見陽平/千葉商科大学准教授、働き方評論家

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)後、株式会社リクルートに入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年より准教授。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。主な著書に『「就活」と日本社会』(NHK出版)や『「意識高い系」という病』などがある。
常見陽平公式サイト

Twitter:@yoheitsunemi

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