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山田修「展望!ビジネス戦略」(12月23日)

公開中止の金正恩暗殺映画、ソニー平井社長の関与・承認が発覚 致命的な愚行

文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役
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公開中止の金正恩暗殺映画、ソニー平井社長の関与・承認が発覚 致命的な愚行の画像1映画『The Interview』のポスター(サイト「IMDb」より)

 ソニーの米映画子会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)がクリスマスに公開を予定していた映画『The Interview』の公開中止を決定した。SPEへのサイバー攻撃について米オバマ大統領は19日、ホワイトハウスで行われた記者会見で「北朝鮮政府が関与している」と断定し、「相応に対処する」との方針を表明した。

 今回のサイバー攻撃でSPEの社内資料やメール履歴が大量に漏洩したが、その中にソニー本体の平井一夫社長が登場している点が注目される。

『The Interview』は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記をパロディ的に扱った作品と伝えられている。金書記とのインタビューに向かうトーク番組司会者らが、中央情報局(CIA)の指示で金書記の暗殺を試みる。ラスト・シーンでは金書記の生首が爆発により吹き飛ばされ、その画像なども現在インターネット上に出回っている。

 この「インタビュー」を行う主演を務めるセス・ローゲン監督とエイミ-・パスカルSPE共同会長との間で交わされたメールなども暴露され、それらのやりとりの中に平井氏が登場するのだ。
アメリカのニュースサイト「Vulture」は19日、暴露されたメールなどを時系列にして紹介している。以下、一部を筆者訳で引用する。

「2014年7月:平井氏はそれまで米国でのビジネス活動に口出ししたことはなかったが、問題のシーンを望んでいないことが明らかとなった。SPEのマイケル・リントン氏がエイミ-・パスカル氏に送ったメールで、セス・ローゲン監督にその(=首が吹き飛ぶ:筆者注)シーンをカットさせるよう指示した。

 9月:最終シーンが3バージョン用意され、平井氏に送られた。平井氏が1つを承認した」

 リントン氏はそのほかに暴露されたパスカル氏宛てメールの中で、「今回のような要請は過去25年間の間になかったことだ」として、事の重大さを強調してローゲン監督を説得するように告げている。外資系企業では、この平井氏の通告は「さもなければクビだ」というはっきりしたメッセージにほかならない。パスカル氏としても動かざるを得なかった。

●侵された表現の自由

 さて、SPEをソニーが買収して25年目で初めて起きたソニー本社社長から現場へ出たこの指示について、次のように評価できるだろう。

・映画産業と製造業の本質的な違いを平井氏は理解していない。
・巨大産業であるソニー本社社長が口を出すような話ではない。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
山田修の戦略ブログ

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