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脅かされる“異端児”りそな、減収地獄打破へ革命始動 混戦する業界の「切り札」に

文=福井晋/フリーライター
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 同社関係者は「オムニチャネルは、ITグローバルプレイヤーに対する防壁にもなる」と自信を示す。

 一方、縮小し続けてきた業務粗利益のV字回復策として、東社長が社内でハッパをかけているのが「金利の付加価値化」だ。

 数ある金融商品の中で、貸出金は最もコモディティ化(均質化)が著しい。住宅ローンがその典型だ。競合すれば「利下げで勝負」が実態だ。貸出資金がだぶついている今、法人向け融資も金利競争が激しい。従って「付加価値を付けないと、適正な金利をもらえない時代」(同社関係者)だ。

 では、どうやって金利に付加価値をつけるのか。同社が住宅ローンの重点商品にしているのは「団信革命」だ。これは団体信用生命保険と住宅ローンを組み合わせた商品で、住宅ローンの通常金利に年率0.3%を上乗せすれば、3大疾病と「16の特定状態」および「所定の要介護状態」に該当した場合は保険料を支払い、ローン残高もゼロになるというもの。他社商品と差別化し、しかも「メリットがある」と納得してもらえなければ金利競争から抜けられないというわけだ。

 法人融資においても同社は前述のオムニチャネルを活用、事業承継支援、ビジネスマッチング、資産運用、不動産仲介(りそな銀行は信託銀行免許を保有)などの付加価値を付けることで「プラスアルファの金利獲得に努めている」という。

●地銀再編レース参戦は金融庁次第

 最後に、同社が地銀再編レースに参戦する可能性はどれぐらいあるのだろうか?

 これについて東社長は9月18日付日本経済新聞において、「地銀再編を否定しないが、それほど大きな流れになるとは思えない」と述べるにとどめ、今のところ旗幟を明らかにしていない。

 だが都銀関係者の一人は「りそなは行風の異なる3行を見事に融合させ、経営一元化に成功した稀有な銀行。公的資金完済後は、そのノウハウを生かして適当な地銀を吸収合併し、『メガリテール銀行』を目指す成長戦略を温めているはず。金融庁もそれを狙っている」と断言する。

 一方、再編レース仕掛け人の金融庁関係者は「自らレースに参戦しようとはしていない。ただレースが混戦すると観客席に座っているわけにはいかなくなる。りそなは混戦を治める切り札になる可能性がある」と、意味深長なことを言う。

 りそなは国内限定で営業する国内基準行としては最大手。したがって「人口減少問題にどう向き合うかは、社会的責任として避けて通れない立場」(前出金融庁関係者)にあるのは事実。つまりレースの成り行き次第で、公的資金返済で借りのある金融庁の意向をくみ、参戦せざるを得ないかもしれないのだ。

 公的資金完済後の東社長には、以前にも増して重く難しい問題が待ち構えているようだ。
(文=福井晋/フリーライター)

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