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大手電機社長たちに異変 「明るさ」を取り戻した素顔、業績回復と攻めの経営鮮明に

文=長田貴仁/神戸大学経済経営研究所リサーチフェロー、岡山商科大学教授
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●「先祖返り」したNEC

 今、家電事業を大幅に縮小し、インフラ関連事業にシフトした日立製作所の躍進が注目されている。同社も1月に同様の会合を開くが、インフラという面では先祖返りしているNECの懇談会で遠藤信博社長が昨年に増して元気に見えた。「NECはいったいどうなるのか」「顔が見えなくなった」という声が高まるほど同社の売り上げは大幅に落ち、低迷が続いていた。かつて見せた「パソコンの雄」の姿を知らない人も珍しくない。

 NECが「先祖返り」したというのは、パソコンや携帯電話など店頭で販売される「見える商品」で一時は繁栄を謳歌したものの、現在はICT(情報通信技術)をベースにしたB to B系の会社になってきたからだ。つまり、「顔が見えなくなったといわれますが、元に戻っただけ」(同社広報)なのである。遠藤社長も「社会インフラとグローバル化が成長するための経済基盤」と強調していた。その顔が見えなくなっている会社は、冗談のようだが、最近「顔が見える」先端技術で注目されている。

 それは、顔の目や鼻、口の傾きや位置などの特徴点を抽出し、照合する顔認証技術である。同社のそれは、国内外のオフィスやデータセンターの入退出管理や空港の出入国管理、街角の防犯カメラなどのシステムで活用されている。1秒間に620万人以上の顔写真と照合できる。顔が見える技術であっても、今のNECは黒子に徹している。

 遠藤社長は81年にNECに入社し、主に衛星通信装置や携帯電話基地局など無線通信機器の開発に従事してきた。また、03年には超小型マイクロ波通信装置「パソリンク」の事業責任者として、新興国をはじめとした海外市場の開拓を敢行し、同装置を世界トップシェアに成長させた。これまでのキャリアを通じて、世界のマーケットに通じる先進的な技術の開発(イノベーション)に注力するとともに、国内外において幅広い顧客との信頼関係を構築してきた。97年の英国駐在や、海外での豊富なビジネス経験に基づく国際的な視野を持つことでも知られている。三つ子の魂百までもというべきか、遠藤社長の経験を生かせる分野に事業がシフトしつつある。

●問われるサラリーマン社長の成果

 近年、日立の復活の陰に隠れ、やや水をあけられた感じである東芝もインフラ事業に重点を移しつつある。その結果は吉と出つつある。そのせいか、懇談会で見せた田中久雄社長の表情も明るかった。「広報活動に理解がある社長」という社内の評判どおり、とても人当たりの良い人物である。しかし、(今回から参加しなくなった)前々任者の西田厚聰氏や前任者の佐々木則夫氏のような、いわゆるスポークスマンタイプではない。声も小さく、押し出しの強さは感じない。だが、その仕事ぶりは「詰めが甘くない」とのこと。話していると、物静かな雰囲気の中に隠された闘志が感じられた。

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