●無添加表示やオーガニック表示のウソ
–肌を美しく保つために化粧品類を使用する人も多いと思いますが、留意点などがあれば教えてください。
菅原 非常に多くの方が勘違いしている表示として、「無添加」「オーガニック」という文言があります。無添加と表示されている商品は「肌に負担がかかる成分がまったく配合されていない」と思いがちですが、それは誤りです。1980年に厚生省(現厚労省)が、皮膚トラブルを起こす可能性のある102の化学物質と香料を合わせた103の原料を指定しました。現在は全成分を表示するようになっているため、それらは「旧指定成分」と呼ばれています。無添加とは、この旧指定成分を添加していないという意味で使われていることがほとんどです。旧指定成分以外に、どのような有害物質が配合されていても無添加と表示することが可能です。そもそも厚労省は無添加の定義や基準を設けていないため、化粧品メーカーが勝手に無添加をうたっている状況です。テレビCMなどで流されている有名化粧品も、旧指定成分は無添加ですが、ほかの有害物質が配合されているケースをよく見かけます。
–無添加とうたうことで消費者の購買意欲を煽っているのですね。
菅原 またオーガニックについても、「化学薬品を使用していない化粧品」と考えている方が多いと思います。実は、オーガニックと表記されている化粧品でも、原材料の一部にオーガニックの植物を使っているだけで、残りは合成界面活性剤や防腐剤などの有害な化学物質が配合されていることも少なくありません。さらに、植物エキスを抽出する際に毒性の強い薬剤を使うことも多く、化粧品にはそれらの薬剤が混入しているため、オーガニックと表示されていても肌に優しいとは言い切れません。
●使ってはいけない男性用化粧品の実態
–最近、ドラッグストアなどで男性用化粧品の売り場面積が拡大していますが、菅原さんは、男性が化粧品を使用することに警鐘を鳴らしていますね。
菅原 私の周りの男性にも、男性用化粧水を使用している方が急激に増えています。男性諸氏に、「化粧品を使うのはやめなさい」と声を大にして警告したいと思います。男性用化粧品は、飽和状態にある化粧品市場でメーカー側が販路拡大を求めて作り出しましたが、男性に化粧品は不要です。
–美容経済新聞によると、13年度の化粧品の国内市場は1兆7000億円で、資生堂と花王の2社で総売上高の70%近いシェアを占めている状況ですが、美容や健康への関心は根強く需要が見込めるため競争が激化しているといいます。
菅原 あふれる化粧品で市場が飽和状態になっており、そこでメーカーが新たなターゲットにしたのが男性です。「いまは男性も化粧品をつけないとダサい」と訴えるテレビCMを流して、男性の意識に化粧品を使用するようにすり込んでいます。
しかし、男性は女性よりも皮脂が多く角質も厚いので、そもそも化粧品は不要なのです。もし、乾燥気味で顔が粉っぽくなるとの悩みを抱えているのであれば、化粧水をつけるよりも先に、おしぼりで顔を拭くのを控えてください。カフェやレストランで出されるおしぼりの多くは、合成洗剤が使用されています。また、シャンプーや洗顔料も使用しないでください。それらに含まれる界面活性剤によって肌の構造が壊されるからです。熱いお湯で顔を洗うのも保湿成分が流れてしまうため、ぬるま湯を使用してください。これらを守るだけで粉ふきは改善するはずです。いったん化粧品を使うと、余計に肌が乾燥するようになりますので、正しい知識を身につけていただきたいと思います。
–ありがとうございました。
(構成=尾藤克之/ジャーナリスト・経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。