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三菱電機、万年3位でもなぜ脚光?徹底した“奇策なし”改革で利益率業界トップに躍進

文=福井晋/フリーライター
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三菱電機、万年3位でもなぜ脚光?徹底した“奇策なし”改革で利益率業界トップに躍進の画像1三菱電機本社が所在する東京ビル(「Wikipedia」より/Wish.F)
 業績回復が鮮明になりつつある日立製作所と東芝の陰に隠れて存在感の薄い「総合電機万年3位」の三菱電機が、「売上高5兆円」の成長戦略をぶち上げ、珍しく脚光を浴びている。

 同社は昨年11月10日に開いた投資家向け経営戦略説明会で、2020年度までに連結売上高5兆円以上、営業利益率8%以上という数値目標を掲げた成長戦略を発表した。この中では同年5月に開いた同説明会では示さなかった事業別成長目標も示し、売上高構成比について、産業メカトロニクス部門30%(営業利益率13%以上)、重電部門29%(同8%以上)、家電部門・その他23%(同6%以上)、情報通信システム部門11%(同5%以上)という計画を明らかにした。

 この成長戦略の中で、同社は産業メカトロ、重電、家電の3部門に経営資源を集中させ、重点的に伸ばしていくとしている。同日記者会見した柵山正樹社長は「重電部門では電力、交通、ビルが、産業メカトロ部門ではFA(ファクトリーオートメーション)と自動車機器が、家電部門では業務用空調機器、住宅機器などの法人向けが成長のエンジンになる」と述べ、20年度までに重電部門で3000億円以上、産業メカトロ部門で約4000億円以上、家電部門で2000億円以上の売り上げ拡大を目指す方針を示した。証券アナリストの一人も次のように評価するなど、説明会出席者の多くが同社の成長戦略に納得した模様をみせた。

「10月30日に14年度の連結業績予想を上方修正し、営業利益が過去最高益の2750億円の見通しを立てている。こうした勢いと、ここ数年の実績を1つずつ積み重ねてゆく手堅さぶりを勘案すると、この成長目標はかなり現実味がある」

 売上高や営業利益こそ総合電機万年3位の地位は変わらないものの、営業利益率は6.5%で総合電機トップ(日立製作所は同6.1%、東芝は同4.9%。いずれも14年度見通し)。だが、市場にインパクトを与えるような話題が皆無に近い同社が注目される機会は少ない。日立と東芝の巨人の陰に隠れた「小さな優等生」は、いかにして高収益体質を確立したのだろうか。

●ホラと言われた「売上高4兆円」を達成

「社長就任時に掲げた『13年度までに売上高4兆円』の旗を降ろす気は毛頭ない」。三菱電機の山西健一郎前社長がそう断言したのは、13年3月中旬に開かれた記者懇談会での席上だった。だが、山西氏を取り巻いていた記者たちは、この強気発言に驚いた。その理由は、過去10年間の売上高推移を見ればわかる。

 同社の売上高が過去10年で4兆円を超えたのは07年度の1度だけ。直近の実績も、11年度の売上高は前期比0.2%減の3兆6395億円。12年度のそれは同2.0%減の3兆5672億円。これを13年度に4兆円に乗せるには4328億円の上積みが必要。伸び率にして実に12.1%も必要になる。12年度連結決算発表時の13年度業績予想も、12年度比6.8%増の3兆8100億円にとどまっている。

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