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闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第25回

三井住友銀行、認知症女性に執拗な投資勧誘で2千万円の損害与える 虚偽の社内資料作成

文=佐々木奎一/ジャーナリスト
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●三井住友銀行に勧められるまま投資

 そんなAさんは40代のときに夫を亡くし、それ以降は養母と2人暮らしをしていたが、60代のときに養母が死亡し、不動産を相続していた。その資産は1億円弱。資産を持ったAさんは当時、色々な勧誘を受けてお金を出して損をしたり、政党に寄付をさせられたりしていた。見かねたC氏は、90年代後半からAさんの財産を管理するようになった。

 01年5月、AさんとC氏が預金をしていた三井住友銀行の行員が、「銀行の預金は利率が低いので、MMFのほうが有利だ」と投資を勧誘してきた。MMFとはマネーマネジメントファンドの略で、安全性の高い債券中心の投資信託だ。行員のしつこい勧誘に根負けし、C氏はAさんの分を含め契約した。

 C氏は、投資の際の様子を次のように陳述している。

「妹は金融商品の複雑な話を理解できないので、行員は妹には直接勧誘せず、私に対して妹の取引を勧誘して、妹は私が判断した取引に書類上の署名・押印をするだけ」
「妹は、常に私が同席する場所で、行員が『Aさんの分もどうぞ』と勧誘し、私が従うことで取引させられた。妹の意思はまったく入っておらず、単に言われるままに必要書類に署名押印するだけ」

 C氏は「大手銀行の行員が勧めてくれる商品なので、悪いようにはしないだろう、との信頼のもとに」取引をしたという。

 当初の投資金額はAさんの分は1200万円だった。同年10月と翌02年1月に追加で約700万円分の債券ファンドも買った。以後、行員は1年ごとに買い替えを勧め、Aさんの投資金額は徐々に増えて行き、07年7月には、不動産投資信託証券のグローバルREITオープン6000万円分を借り換えて買わせた。これがサブプライムローンで大幅な評価損となり、分配金を相殺したAさんの損益は大幅にマイナスとなり、損失は約2000万円に達した。C氏もマイナスとなった。

 こうしてAさんとC氏は11年4月、三井住友銀行を相手取り、損害の支払いを請求する裁判を大阪地方裁判所に起こした。

 なお、法律上、Aさんの資金をC氏が代理して契約するためには、成年後見人になる必要があるが、その手続きはしていない。従って、Aさんは自らの意思、判断でファンドを売り買いしていなければ契約は成り立たない。そのため行員はアリバイづくりをしていた形跡があることが、裁判で明るみになった。

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