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9セルで読み解く 川上昌直のビジネスモデル・シンキング

実は経営者も「ロジック」に弱い?成功企業が実践している「儲ける仕組み」

文=川上昌直/兵庫県立大学教授

 ところで、「顧客満足」と「利益」はそれを駆動させる、すなわち実現に至る「プロセス」がなければ絵に描いた餅で終わってしまいます。そこで筆者は、研究の末、このすべてを網羅した9セル(ナインセル)メソッドを考案しました。

 9セルは、新しいビジネスを生み出したい起業家も、既存ビジネスを変革したいビジネスパーソンも、これからやろうとしているビジネスを論理的に整理でき、かつ実行に移すことができるツールです。

 マーケティング、ファイナンス、戦略など多岐にわたる勉強をしているのに成果が出ない。そう感じている経営者やビジネスパーソンにとって、そもそも何を考え、何を決め、何を判断基準にすればいいのかが9セルではっきりと見えるため、「儲かる仕組み」がわかるようになります。

●9セルって何? それぞれのセルを確認しよう

 下図の通り、9セルは、9つのセルに書かれた質問への答えを書き込んでいくものです。これらは、縦軸、横軸の2つの軸からなっています。縦軸は、先ほど述べた「顧客満足」「利益」「プロセス」を上から順番に並べています。横軸は、『事業の定義』(デレク・F・エーベル)でも紹介されている、Who-What-How(「誰に?」「何に?」「どのように?」)という質問が並んでいます。

実は経営者も「ロジック」に弱い?成功企業が実践している「儲ける仕組み」の画像3

 一番上の「顧客価値」の段では、(1)どんな用事を持つお客様に、(2)どんなソリューション(商品、サービスなど)を提供し、(3)それが、どんな点で他のソリューションと異なるのか? を考えます。

 2つ目の「利益」の段では、「顧客価値」の段で導き出されたビジネスを、(4)誰から儲けて(誰からは儲けないで)、(5)何で儲けて(儲けないものは何で)、(6)どのタイミングで儲けるのかを考えます。

 この2段分が明確になると、ビジネスの両輪である「顧客価値」と「利益」を同時創出させるための思考法が確立します。ビジネスモデル・シンキングの完成です。

 最後の「プロセス」の段では、ビジネスを駆動させ、素早く実行に移すために何をしなければならないか明確にします。すなわち、(7)どのような全体手順で実現し、(8)手順の中で、特に自社が発揮できる強みは何かはっきりさせ、(9)その際に足りない資源を誰に補完してもらうのかを決めていきます。

 考える順番にもコツがあります。1、2段目の「顧客価値」と「利益」はWho→What→Howの順に、3段目の「プロセス」はHow→What→Whoの順で考えるのが最もオーソドックなやり方です。

川上昌直/兵庫県立大学教授

川上昌直/兵庫県立大学教授

「現場で使えるビジネスモデル」を体系づけ、実際の企業で「臨床」までを行う実践派の経営学者。
初の単独著書『ビジネスモデルのグランドデザイン』(中央経済社)は、経営コンサルティングの規範的研究であるとして第41回日本公認会計士協会・学術賞(MCS賞)を受賞。
ビジネスの全体像を俯瞰する「ナインセルメソッド」は、さまざまな企業で新規事業立案に用いられ、自身もアドバイザーとして関与している。
また、メディアを通じてビジネスの面白さを発信している。
そのほかの著書に『儲ける仕組みをつくるフレームワークの教科書』(かんき出版)、『ビジネスモデル思考法』(ダイヤモンド社)、『そのビジネスから「儲け」を生み出す9つの質問』(日経BP社)など
川上昌直プロフィールページ

Twitter:@wtp_profit

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