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ポカリスエットの大塚HDが直面する地獄 主力医薬品特許切れ、巨額買収の後始末…

文=編集部
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 アバニアの13年9月期の売上高はわずか7536万ドル(約90億円)、営業赤字が7142万ドル(約85億円)という赤字会社だ。しかも、純資産は1847万ドル(約22億円)しかない。買収金額は純資産の190倍であり、当然のれん代は莫大な金額になる。

 のれん代は日本の会計基準では20年以内に毎期定期償却する必要がある。大塚HDの14年12月期末時点ののれん代は931億円で、同期ののれん償却額は38億円だった。アバニアの買収に伴うのれんの金額と償却方法、償却期間については「未定」としているが、のれん代とその償却額が何倍にもなることは確実だ。直近の15年12月期は、アバニア買収に伴うのれんの償却として約150億円を見込んでいる。これが減益になる原因の一つだ。

 決算期を12月に変更したのは、会計基準を国際会計基準(IFRS)に移行するための布石といえる。IFRSでは、のれんの償却負担がないためだ。しかし、IFRSになれば、厳格な減損処理に直面することになる。もし、アバニアの新薬開発が失敗したりしたら、一気に減損の処理をしなければならず、時限爆弾を抱えているようなものだ。

 大塚HDでは訃報が相次ぐ。14年11月28日、「中興の祖」ともいわれた大塚明彦会長が77歳で亡くなった。最大の功績は医薬品事業に本格参入し、徳島県の地方企業にすぎなかった大塚グループをグローバル企業に変身させたことだ。15年2月9日には中核医薬品子会社の大塚製薬社長を務めていた岩本太郎氏が亡くなり、急遽、樋口達夫・大塚HD社長が大塚製薬社長を兼務した。エビリファイを大型薬に育てたのが岩本氏だった。アメリカの子会社に勤務していた岩本氏は、大塚前会長から突然の帰国命令を受け、直接エビリファイの販売を託され、世界有数のブロックバスターに育て上げた。

 今後は大塚HD社長兼CEOの樋口氏が、主力薬の特許切れ、巨額ののれん代という“地獄”と向き合うことになる。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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