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超便利だが疑問多数…注目のau WALLETとソフトバンクカードに潜む野望?

文=佐野正弘/ITライター

なぜ、クレジット方式ではなくプリペイド方式なのか

 そしてもう1つ、ソフトバンクカードau WALLETと大きく異なっているのが、銀行口座のような使い方も可能となっていることだ。ソフトバンクカードにチャージする残高(バリュー)は、チャージ方法によって「プリペイドバリュー」と「現金バリュー」の2通りに分かれる。Tポイントやソフトバンクモバイルのキャリア決済でチャージした場合は、決済のみに利用できるプリペイドバリューとなるが、銀行口座からチャージした場合は現金バリューに分類される。

 現金バリューは決済だけでなく、他の人のソフトバンクカードへバリューを送金できるほか、海外のATMからバリューを引き出すことも可能になるなど、現金同様の利用が可能であることが大きなポイント。将来的には、国内のATMからの現金引き出しや、キャッシングにも対応したいとしており、銀行口座やクレジットカードに近い使い方もできる仕組みを整えていくようだ。

 しかしながら、そこまでのサービスを提供するにもかかわらず、なぜクレジット方式ではなくプリペイド方式を採用するのかというのは、疑問が湧くところだ。ソフトバンク側はその理由として、若い世代のクレジットカード保有率の低下があると答えている。

 日本では長きにわたる景気低迷で非正規雇用が増加し、その影響で年収も下落傾向にある。特にその影響を大きく受けているのが若い世代であり、年収の低下が信頼の低下、ひいてはクレジットカード保有の低下にもつながっている。特に20代男性のクレジットカード保有率は72%と、これを高めることが喫緊の課題となっている。

 その結果、日本では今なお現金による決済が8割を占め、電子マネーによる決済がなかなか進まない状況にある。そうしたことから、プリペイドカードながらよりクレジットカードに近い仕組みを採用するソフトバンクカードの提供により、電子決済の利便性を広めたいというのが、大きな狙いとなっているようだ。

超便利だが疑問多数…注目のau WALLETとソフトバンクカードに潜む野望?の画像2若い世代のクレジット利用率低下が顕著に進んでおり、特に20代男性の保有率は7割にまで低下している

若い世代を決済で取り込み、継続利用につなげる狙いか

 確かに若年層向けの決済手段として考えると、ソフトバンクカードやau WALLETの存在は非常に合点がいく。若い世代は信用が低くクレジットカードを持ちづらいことから、特にクレジットカード決済が必要なサービスとの相性が非常に悪い。ECサイトでの買い物を例に挙げると、10代に人気の携帯電話向けECサイトの決済手段は、かつてクレジットカードよりも代引きが重視されたほどだ。

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