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なぜ英語を「話せない」?たった7カ月で英語が話せる画期的教材!

文=井上久男/ジャーナリスト
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なぜ英語を「話せない」?たった7カ月で英語が話せる画期的教材!の画像1「リッスントーク」のHPより
 ネイティブスピーカーの話している英語をなんとなく理解できても、いざ話そうとすると、言葉が出てこない――。

 これは、英会話の勉強を少しかじった人なら突き当たるひとつの「壁」ではないだろうか。その理由は明快。英語を聞く力(受信力)と、話す力(発信力)はまったく別物だからだ。ところが、この点は英会話習得の上の盲点となっており、既存の英会話教材や英会話教室は、両方を区別して教えていない傾向にある。

 こうした課題を解決しようと、研究者と大阪のベンチャー企業が新たな教材を共同開発した。2月21日に発売されたその教材名は「リッスントーク」。文字通り、英語が「聞け」て「話せる」ことを表している。

 新教材の特徴は大きく3つある。まず一つ目は、英会話の学習を聞く力と話す力に区別した点だ。会話は、相手の話すことを聞き取る受信力と、こちらの言いたいことを話す発信力から成り立つ。前述のとおりこの2つはまったく別の能力なので、相手の話していることはなんとなくわかるのに、いざ自分が話すとなると口が動かないといったことが起こる。リッスントークはこのギャップに着目し、2つの能力を明確に区別して学習するようになっているため、リスニング(受信力)もスピーキング(発信力)も効率的に上達させることができるのだ。

 TOEICで800点以上を取るような人でも英語が話せない、ということがよく話題に上るが、これもリスニングとスピーキングのギャップを明確に示す例だ。TOEICで高得点を出すには、リスニングと読み取りに力を入れなければならないことも背景にある。

 二つ目の特徴は、英会話を学ぶのに日本語を活用しているという点だ。日本語を活用するというのは、すでに身に付けている言葉を利用して、新しい言葉を学ぼうということだ。実際、日本語を活用するほうが英語だけで学ぶよりも数段効果的で、脱落することも少なくなる。これは初心者にとってはありがたい。リスニングに特化した練習では英語→日本語の語順、スピーキングに特化した練習では日本語→英語の語順で学べるようになっている。

 そして三つ目の特徴は、確実に聞き取れる音声を使うことだ。誰もがネイティブスピーカーの英語にあこがれるが、実際にはそうした英語を何度繰り返し聞いても聞き取れるようにはならないケースが多い。特に初心者には無謀ともいえる高いハードルだ。これは、スピードを落として聞いても解決が難しく、しっかりと「ポーズ」を入れた特殊なスロー音声を使うことにより、確実に聞き取れるように工夫する必要がある。つまり、「しっかりとつかむ→ネイティブの速度に慣れる」というステップが重要なのだ。

「学習者に優しい」

 リッスントークを共同開発した研究者は大阪観光大学国際交流学部の池田和弘准教授。『TOEIC最強の学習法』『SUPER REPEAT方式 こうすれば速く覚えられるTOEICテストの英単語』(共に日本実業出版社)などのベストセラー書籍を累計60万部以上出した実績を持つ。京都大学卒業後、大阪大学大学院言語文化研究科(修士課程)を修了。民間の教育機関などを経て現職にある。国際的な英語資格である国連英検特A級を持つ。

 池田氏は受験英語の指導も得意とし、センター試験の英語のテスト(200点満点)で60~80点しか取れない生徒を、半年間で150点くらいまで取れるように引き上げるという。さらに10年ほど前には、産学連携の拠点、大阪大フロンティア研究機構の特任研究員として、ナノテクや原子力工学の専門分野の英語を教え、理系学生の英語力を向上させた。

 池田氏の英語教育の特徴は、海外に留学・駐在経験がなくても、実戦で役立つ英語力、英会話力を身に付けて幅広い分野に応用できることだ。「海外留学の経験がまったくない私自身が挫折しながら学んできたノウハウを『リッスントーク』に反映させた」と池田氏は話す。そのノウハウを踏まえたうえで、新教材の3つの特色は、「学習者に優しい」というコンセプトをベースに誕生した。

脳科学を応用

 教材の開発にあたっては、「人間の脳が情報を処理するメカニズムも考慮している」と池田氏は言う。脳科学と言われると難しく感じるかもしれないが、コンピューターは電話番号などつながりのない断片的な情報を覚えるのが得意なのに対して、人間の脳はストーリー性や関連性のある情報を記憶するのを得意とする。要は自分が遭遇した場面や経験などとつながった情報を理解することが得意なのだ。

 例えば、幼児が言葉を覚えていくプロセスを注視していると、自分が体験している空間の中で関連付けて覚えていくのがわかる。玄関で父母を見送り、迎える時に、「いってらっしゃい」「ただいま」という言語を覚え、その状況と関連付けて「靴」「お母さんの靴」「お散歩」「お外」といった言葉も覚えていく。

 大人が英会話を習得するのもそれと同様で、例えば「観光案内」という実践の場に絡めて関係する単語や表現などを覚えていくほうが早く上達する。このため、リッスントークでは、会話のやり取りなど教材全体をストーリー仕立てにして、関連付けて覚えやすいように工夫している。日本語(母語)を活用するという点も、脳の情報処理と関連しているという。

経験知と脳科学の融合

 池田氏と一緒にリッスントークを開発したのは、08年に設立されたベンチャー企業エリフェット(本社・大阪府豊中市)だ。同社の岩崎貴之社長は「日本人の英語力向上と、教育とエンターテインメントの融合を目指した教材開発のために起業した」と説明する。英語学校なども運営している同校で、池田氏の理論を「臨床的」に試して成果を確認してきた。リッスントークは、池田氏とエリフェットのいわば経験知と、脳科学の融合から生まれたもので、非常に実戦的な教材といえるだろう。

 池田氏は「一見初心者向けのように思われるが、リスニング特化練習では容赦のない速さの音声も入っている。この教材を使えば、海外に行かなくても、聞けて話せる英会話力の上達が28週間程度で体感でき、確かな手ごたえを感じることができる」と自信を見せる。

 ちなみにリッスントークは、エリフェットが運営する教育サイト「ブライトエッグス」を通じた販売となり、CDとテキスト一式で2万8800円。無料電話相談や学習効果をチェックできるオンラインレッスンなども用意されている。
(文=井上久男/ジャーナリスト)

井上久男/ジャーナリスト

井上久男/ジャーナリスト

1964年生まれ。88年九州大卒業後、大手電機メーカーに入社。 92年に朝日新聞社に移り、経済記者として主に自動車や電機を担当。 2004年、朝日新聞を退社し、2005年、大阪市立大学修士課程(ベンチャー論)修了。現在はフリーの経済ジャーナリストとして自動車産業を中心とした企業取材のほか、経済安全保障の取材に力を入れている。 主な著書に『日産vs.ゴーン 支配と暗闘の20年』(文春新書)、『自動車会社が消える日』(同)、『メイド イン ジャパン驕りの代償』(NHK出版)、『中国発見えない侵略!サイバースパイが日本を破壊する』(ビジネス社)など。

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