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Surface 3徹底解剖から透ける、覇者マイクロソフトの豹変 「ネット以前」からの脱皮

文=西俊明/ ITコンサルタント

 OSには機能制限がない「Windows 8.1」が付属し、今夏発表予定の「Windows 10」が出荷されれば、無償でアップグレードできる。また、「Office 365」と呼ばれるOfficeのクラウドサービスの1年間使用権も付属する。

 このSurface 3は、世界26の国や地域で発売されるのだが、その中に日本は含まれていない。日本マイクロソフトのウェブサイトを見ると、「日本におけるSurface 3の発売に関する情報については、現在最適な形での投入を検討しており、改めてお知らせします」とされている。これは、おそらく「添付するOfficeを、日本市場専用ライセンスとするための調整の時間」という意味だろう。

 実は、世界に比べて日本のPCはOfficeのバンドル(事前インストール)率が極めて高く、そのほとんどが「PCを使い続ける限り、半永続的にOfficeを利用できる」というプリインストール型ライセンスである。

 一方、海外では、市販されているPCのOfficeバンドル率はそこまで高くない。そこで、マイクロソフトでは早くから市販のOfficeのライセンスをクラウドサービスへと変更し、月額や年額などのサブスクリプション(定期利用契約)モデルへ変更してきたという経緯がある。

 しかし、「PCにはOfficeがインストールされており、OfficeはPCが使える限り使えて当然」と考えるPCユーザーが多い日本においては、単純に欧米と同じようなサブスクリプションモデルへの移行は難しいと、マイクロソフトは判断していると考えられる。

 実際、日本市場において、現行のSurface(Pro 3)や他社のWindows搭載PCは、Office 365に加え、永続的利用権のあるOfficeアプリケーションもインストールされているのだ。おそらく、今回もこのような調整をしているはずだ。

 話が少しそれてしまったが、世界的に見ればSurface 3は、マイクロソフトが発表した「クラウドベースのアプリケーションを、いつでもどこでも使えるデバイス」という位置づけのものだ。日本はまだ、インストールベースのアプリケーションの文化が残ってはいるものの、いずれマイクロソフトのネット融合戦略へと収斂されていくだろう。

 一方で「週刊アスキー」の完全ネット/デジタル化対応。出版物が売れない時代にあって、選択せざるを得ない道だったことは明らかであろう。

 マイクロソフトとアスキー・メディアワークスが今回下した決断は、「望む、望まざるにかかわらず、取らざるを得ない選択」なのである。

 ネット以前の我が国のパーソナルコンピューティングシーンにおいて、この世の春を謳歌した(少なくとも外部からはそう見えた)2つの企業が、ネットという大波にのまれるような象徴的な発表が同日に行われた、という点が感慨深い。

「ネットの大波は、また今年度も予想もつかない影響をIT業界に与えるのではないか」と想像させるのに十分な出来事であった。
(文=西俊明/ ITコンサルタント)

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