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出張版・アリエナイ理科「毒のハナシ」

“猛毒”ダイオキシン、人間には毒性がない?なぜ本当に有害な物質の研究が進まない?

文=へるどくたークラレ/サイエンスライター
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 そのダイオキシン類の中で最も毒性が強いといわれているのが、「2,3,7,8-テトラクロロジベンゾダイオキシン」です。

 モルモット実験から判明した致死量は、0.01mg/kg(体重1kg当たり、0.01mg)。これは成人の致死量が150~300mgといわれる青酸カリ(シアン化カリウム)をはるかに上回る猛毒です。しかし、その後さまざまな動物実験から、イヌの致死量は3mg/kg、ハムスターは5mg/kgなど、種類によって何千倍も差があることがわかり、人間の致死量ははっきりしていませんが、ほとんど毒性がないのではないかとの見方もあります。

 また、「急性毒性がなくても、慢性毒性はあるのではないか」との意見もありますが、現在は少数意見にとどまっています。ダイオキシン類は、自然界にも存在しており、過剰にゴミ焼却の際に発生するダイオキシンだけを悪者扱いするのは間違っているのではないか、との意見も多くなっています。

 ただし、ゴミを焼却する際に、有害な物質が生成されていることは確かなようで、それが何かを突き止めるための研究は進めるべきでしょう。しかし、「ダイオキシン低減」などのキーワードが入っているほうが研究費を獲得しやすいため、本当に有害な物質よりも、ダイオキシンの研究がさらに進んでしまう皮肉な状況は今後も続くと考えられます。
(文=へるどくたークラレ/サイエンスライター)

へるどくたークラレ

へるどくたークラレ

覆面の不良科学屋。添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、『アリエナイ理科ノ教科書』の著者、SFやミステリーの設定やトリックの監修も務める。こっそり大学でも教養課程で科学を教えていたりする。過去の連載をまとめた『薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬』は好評発売中。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。

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