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桃田健史「クルマ“周辺”」

すべてが二流だった韓国現代自動車、月単位で驚異の進化 各地に美術館並み建物建設の謎

文=桃田健史/ジャーナリスト
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すべてが二流だった韓国現代自動車、月単位で驚異の進化 各地に美術館並み建物建設の謎の画像1現代自動車「ソナタ」

●国際ソウルモーターショーの主役が語ったこと

 韓国最大の自動車メーカー、現代(ヒュンダイ)自動車は4月2日、ソウルモーターショーで新型車と今後の事業計画について発表した。会見の冒頭、同社・最高経営責任者(CEO)のKim Choon-ho氏が登壇。14年の世界総販売台数が前年比4.9%増の496万台に達したことを誇らしげに語った。

 その後、環境車への対応として、燃料電池車「ix35 Fuel Cell」の重要性をアピール。韓国で人気の高い世界ラリー選手権(WRC)へ昨年に引き続き参戦することを明かしたほか、先進技術としてアドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システム(ADAS)の開発をさらに強化するとした。

 そして、Kim氏が最も強調したのが、ブランド・マネジメントだった。ソウル市街中心部に、ヒュンダイモータースタジオを開設。ここは車両販売のディーラーではなく、ヒュンダイの商品イメージを一般向けに訴求するためのショールームで、近代的なデザインの地上5階建てのビル。壁面は大きな窓になっており、周囲からかなり目立つ存在だ。このほか、ソウル郊外等では、広い敷地に近代美術館のような低層タイプのブランド訴求施設の建設を進めると発表した。その後、若い世代をターゲットとした都会派SUVのコンセプトモデル、ヒュンダイの屋台骨である中型セダン「ソナタ」のプラグインハイブリッド車等がワールドプレミアされた。

 今回の会見は、総じて見ればブランド戦略強化が中核だったといえるが、なぜヒュンダイは今、ブランド戦略の強化を急いでいるのか。

●ホップ・ステップ、そしてジャンプのために

 世界自動車産業界でヒュンダイに注目が集まり始めたのは、2000年代に入ってからだ。1990年代まで、ヒュンダイは商品本体もブランドイメージも二流だった。当時、アメリカ国内でヒュンダイのレンタカーに乗る機会がよくあったが、乗り心地の悪さ、インテリアの質感の悪さ、そして外観の野暮ったさなどが目立った。
 
 そうした二流商品の立て直し戦略として大きな転換点となったのが、米カリフォルニア州アーバインにあるデザイン及び開発拠点の拡大だった。西海岸には、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダなどの日系メーカーに加え、メルセデス、BMW、フォルクスワーゲンがデザインオフィスを構えている。ヒュンダイはそうした同業他社から優秀な人材をヘッドハンティングし、まずは「クルマの見た目を変える」ことを重視した。

 その結果、00年代中盤から続々登場したヒュンダイ、および部品の共用性が多い系列会社の起亜(キア)の各モデルが、斬新で先進的なイメージの外観デザインへと刷新された。それに伴い、インテリアの質感も向上。さらに価格が日系メーカーより若干安いことや、販売奨励金を強化したことで、北米を中心にヒュンダイの業績が上向いた。

桃田健史/ジャーナリスト

桃田健史/ジャーナリスト

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。
ジャーナリスト 桃田健史 オフィシャルサイト

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