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ヨドバシの通販がアマゾンを超える?「来店客にネットで買わせる」巧みな戦術で急成長

文=寺尾淳/ジャーナリスト

「ネットは実店舗の敵」「会社のお荷物」のように見られ、社内でEC部門の肩身が狭くなる。その結果、「ネット事業のほうも、一応やっています」という状態になるケースも少なくない。それでもEC部門を継続させているのには、「店舗の空白地帯を埋められる」「高齢者などに宅配のニーズがある」という理由があるが、その本気度は低いといわざるを得ない。

 しかし、「ヨドバシ」は品揃え、使い勝手、サービス、配送、そのバックにある物流も含め、とことん本気だ。

「ヨドバシ」が取り扱うアイテム数は現在、約250万を誇る。家電をはじめ、ホビー用品、おもちゃ、文具、本、家具・インテリア、ファッション、化粧品、カー用品、ペット用品、酒類、食料と幅広く、「Amazon」に勝るとも劣らない「総合小売化」を進めている。14年は釣具、産地直送有機野菜、鮮魚、医薬品の分野に新たに参入し、今年3月には電子書籍にも進出した。今後は、卵や肉も取り扱う予定だという。

 また、画面上で在庫の有無、店舗の在庫状況、当日配送の可否や配達可能日がすべてわかるようになっている点も便利だ。14年10月からは、1万円以上の商品を対象に、盗難や破損を500万円まで90日間補償する「ヨドバシ・ドット・コム会員お買い物プロテクション」を会員に無料提供している。

 無料配送については、当日配送エリアを三大都市圏から札幌市、仙台市、福岡市など全国主要都市および周辺に拡大し、人口カバー率は約60%に達している。翌日も含めると、離島などを除き、ほぼ100%だ。配送をバックアップする物流拠点のアッセンブリーセンターは、神奈川県川崎市と兵庫県神戸市の東西二大拠点に加え、今秋には三重県桑名市に新拠点が完成する。首都圏を管轄する川崎のセンターは、16年春をめどに施設規模を6倍、商品在庫量を10倍に拡大する予定だ。

店舗に来た客にネットで買わせる戦術

 小売企業の中には「実店舗が主で、ネット通販は従」と公言しているところがある。それも「ネットで大展開の夢破れて」という結果ではなく、「クリック&モルタル」「オムニチャネル」のような、実店舗とネット通販の連携を示す言葉が登場する以前から、「ネットは店舗の販売を強化するためのツール」と位置づけ、それなりの成果を収めている。

 その姿勢で一貫しているのなら、明白でしっかりした事業戦略といえるが、「ヨドバシ」の方向性はそれとも違う。リアルからバーチャルに誘導する、つまり「実店舗に来たお客さんに、ネットで買ってもらう」という戦略だ。売り場で見た商品をネットで買われたとしても、ヨドバシカメラ全体として売り上げが上がるのであれば、それでかまわないということである。

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