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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

人体に深刻な危険をもたらすトランス脂肪酸が野放し 菓子、パン、ファストフードは厳禁

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 それから、安価なケーキなどに使われている植物性のホイップクリームや、カフェやコーヒー専門店にも置かれているコーヒー用クリームにも、トランス脂肪酸は大量に含まれています。これでも日本人のトランス脂肪酸の摂取量が健康に影響ないレベルだというのであれば、その認識は今すぐ改めるべきです。

糖尿病の原因にもなる

 このような事実があるにもかかわらず、マスメディアがほとんどこの問題を取り上げないのはなぜでしょうか。それは一にかかって、スポンサーへの配慮です。もし、マスメディアが本気でこの問題の解決を迫ったとしたら、最も困るのはパンメーカー、菓子メーカー、ファストフード業界でしょう。それらの企業は、大量のトランス脂肪酸を使って製品をつくっています。そして、そのスポンサーから入る宣伝費はメディアを潤わせています。そのスポンサードが断ち切られたら、単なる収入減どころか存亡の危機とさえなるかもしれません。このようなわけで、マスメディアは切り込めないのです。まさにアンタッチャブルな世界なのです。 

 マスメディアの姿勢がどうあろうと、私たちは自分の健康を守らなければならないわけですから、自主的に摂取しないようにしましょう。それは誰のためでもありません、自分と大切な自分の家族、そして親しい人たちのためです。このことに気づいていない人がいたら、そっと気づかせてあげてください。数週間後、または数カ月後、場合によっては数年後に、きっと感謝されることになるでしょう。

 特に筆者が声を大にして言いたいのは、将来子供を産む若い女性たちや、現在妊娠中、授乳中のお母様たちにも絶対にトランス脂肪酸を摂取しないようにということです。授乳中のお母様がトランス脂肪酸を摂取すれば、母乳の中にトランス脂肪酸が分泌されてしまいます。その母乳を飲んだ赤ちゃんの細胞膜の一部がもし、トランス脂肪酸でつくられてしまうと非常に厄介です。

 赤ちゃんだけではなく、大人も、成長期の子供も同様ですが、私たちの細胞膜は脂肪酸でできています。正確にいうと、脂肪酸が代謝されてつくられるリン脂質が中心になって細胞膜が形成されます。本来、その細胞膜は柔軟で細胞の内側と外側で栄養物質と老廃物の出し入れができるようになっています。必要な栄養分を細胞の内側に取り込むために、細胞膜が弾力を持っているのです。

 しかし、一部をトランス脂肪酸で形成してしまうと、その弾力が失われ、栄養物質が細胞の内側に取り込めなくなります。栄養物質の代表であるブドウ糖も取り込まれなくなります。すると、その取り込まれなかったブドウ糖は、血液中にダブつくことになります。実は、それが糖尿病の始まりなのです。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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