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山本康博「なぜあの商品はヒットしたのか/しないのか」

相次ぐ「バカ売れ」による販売休止や欠品、意図的な品薄商法はあり得る?なぜ起こる?

文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役

販売予測は不可能?

 メーカー側にとって限定商品の最も怖い部分は、長期間販売できないので在庫の管理調整が非常に難しいという点です。購入者は新規トライアル、つまり「面白いからネタとして一度買ってみよう」という人がほとんどであり、当然何年も買い続けようと思う顧客は少ないのです。

 限定商品の販売手法として優れているのは、飲料水の「エビアン」でよく利用される限定デザイン戦略です。商品自体の中身は変わらないですが、面白さやブランド想起につながります。コカ・コーラもラベルに名前を印刷して消費者に探させたり、面白い戦略で話題喚起をして注目度を高めています。ちなみに、中身を変えるわけではないので、リスクも小さい戦略といえます。

 限定商品で最悪なのは、トライアル需要だけが一気にきて在庫がパンクすることです。限定商品に限らず、新商品開発では初期在庫や発売当初の生産調整、在庫管理は必ずついて回る頭の痛い悩みです。

 筆者自身も何度か、新商品の反響がありすぎて発売前に受注欠品、発売後でもすぐ欠品という実体験をしています。需給バランスを調査し、購入意向やリピート率などに基づき綿密に販売予想を立てますが、なかなかうまくいきません。将来を確実に予測できればブランドマネージャーは苦労せずに済みますが、現実的には調査結果と実際の売り場での顧客反応が違うことで本当に苦労します。

 一消費者としては、限定商品には興味をそそられて買いたくなる気持ちは理解できますが、欠品を発生させないようにするのはまさにメーカー担当者の腕次第といえます。
(文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役)

山本康博

山本康博

ビジネス・バリュー・クリエイションズ
代表取締役、損保ジャパン顧問。ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、日本たばこ産業、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本制作。1年以上継続した商品は計算すると3割以上、メーカー側でマーケティング実績35年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、2016年スタンフォード大学 David Bradford 名誉教授、ボストンカレッジ Allan Cohen 教授の推薦書として、世界に向けて英著、 “Stick Out”a ninja in Japanese brand marketingを全世界同時発売開始。『Stick Out~a ninja marketer』(BVC)、現在ブレイク中で話題のAmazon書籍総合1位も獲得したベストセラー『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版)の一人として8月1日執筆など。

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