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東電と東京ガスが全面対決!電力&ガス自由化で競争激化 孫正義は“電力王”になる?

文=編集部
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松永安左エ門による帝都決戦

 電力業界では大正末期から昭和初期にかけて、首都圏で「東電・東力戦争」が起きた。

 当時の電力会社(水力発電所)は全国に690社が乱立し、すさまじいM&Aの嵐が吹き荒れていた。その結果、5大電力会社といわれる東邦電力(中部)、東京電燈(関東)、大同電力(中部)、宇治川電気(関西)、日本電力(関西)が生き残った。

 ここから、大戦争が始まる。きっかけとなったのは、遠距離高圧送電技術の実用化だった。日本電力は、同技術を使って東邦電力(現在の中部電力と九州電力の母体)の縄張りである中部地方に送電しようとした。

 東邦電力は、九州から攻め上がってきた松永安左エ門がM&Aで手に入れた水力発電所だ。当時、東邦電力の副社長だった安左エ門は、日本電力に対抗するため、先進的な火力発電所の建設に力を入れた。これで大幅なコストダウン(電気料金の引き下げ)を実現して、日本電力を撃退した。

 その勢いで、東邦電力は東京に進出し、全国制覇を目指す。大正12年に起こった関東大震災で被害を受けた東京、横浜の電力会社から支援を求められた安左エ門は、買収を繰り返した。大正14年に設立した東京電力(現在の東京電力とは別会社。通称、東力)を前面に立てて攻勢に出る。東力は横浜の鶴見に火力発電所を建設、京浜工業地帯に電力供給を開始した。

 東邦電力を迎え撃ったのが東京電燈(通称、東電)で、千住火力発電所を建設して激突した。世にいう「東電・東力戦争」である。東電と東力の戦いに、日本電力、大同電力も加わり、帝都決戦の様相を呈した。

 各社がこぞって火力発電所を作ったため、電気の供給は過剰になり、壮絶な価格競争が起きた。大幅な値引き合戦で同じ家でも1階は〇〇電力、2階は△△電力と電力会社が違うこともあった。

 財界の大物たちの調停で昭和2年、東京電燈と東京電力は合併し、血で血を洗う安売り合戦は終結した。この合併会社が、現在の東京電力の母体になる。

 壮絶な戦いを勝ち抜いた安左エ門は、東邦電力を日本一の電力会社にして「電力王」と呼ばれた。しかし、昭和12年の日中戦争を機に、すべての電力会社は解散して、電力設備は強制的に国有化され、9つの配電会社に再編された。

 国有化に最後まで抵抗した安左エ門は、電力業界を去った。この安左エ門が戦後、吉田茂首相に懇請され、電気事業再編成審議会の会長となり、国営電力会社を廃し、民営による9電力体制を確立した。電力の国営化に徹底抗戦し、戦後、民営9電力体制を作り上げたことから、安左エ門は「電力の鬼」とも呼ばれている。

BusinessJournal編集部

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