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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

コマツとクボタは、隠れたビッグデータ活用先進企業!今後の鍵を握る「カイゼン」のDNA

文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員

 その一つは、データ活用領域の拡大だ。これまでは建機の稼働管理におけるデータ活用がメインであったが、今年2月からは「スマートコンストラクション」として、建機を活用した現場の施工管理における総合的支援へと拡大している。このサービスには、無人飛行機(ドローン)による高精度測量や、施工進捗から工期に合わせた日々の最適な施工量を算出する最適施工マネジメント、経験の浅い機器オペレータの運転サポートを3次元でナビゲートする最適施工手順ナビゲート、現場で必要となる日々の情報をタイムリーに共有するスマホアプリなど、さまざまなものが含まれている。

 もう一つは外部連携によるデータ活用の進化。自社単独にこだわらず、ノウハウを相互補完できる外部とのパートナーシップを通じて、高次元のデータ活用をよりスピーディーに実現することを目指している。

 今年にはビッグデータ活用の分野でも世界的なリーディングカンパニーである米GEと合弁会社を設立。世界の鉱山で生産設備の稼働データを共同分析し、効率運営支援で提携し、両社のビッグデータ活用のノウハウを持ち寄り事業展開することが決まった。今後、コマツの鉱山機械などから収集したデータと運営ノウハウ、GEの高度なデータ解析力により、燃費改善や人員の最適化を実現させ、資源会社の費用削減を支援する。

農業経営を支援するクボタ

 コマツと同様に、一見するとビッグデータとは最も縁遠い世界にみえる日本の農業分野で、データ活用による高付加価値化を推進している企業もある。その中心的な存在がクボタだ。

 コンバインやトラクタ、田植機などの農機を製造・販売するクボタは、これらの農機で取得できるデータを活用した新たなビジネスを展開している。中長期的に縮小傾向にある日本市場において、単純な機器販売では収益性に限界があり、データを活用することによる高付加価値化は喫緊の課題であった。そこで、12年に実に20年ぶりとなる全社的な組織改革を実施し、コンバインやトラクタ、田植機、汎用、車両基礎など各技術部を束ねる組織に刷新。栽培から経営まで農家をトータルに支援するクボタスマートアグリシステム(KSAS)のプロジェクトを開始し、14年から当事業を本格化させた。

 クボタの新しいコンバインは、コメの収穫量だけでなく、食味まで測定できるセンサを備えている。内部搭載されたこのセンサは、コメに含まれるタンパク質と水分量を測定し、そこから食味を推定する。このデータはコンバインの運転席にあるパネルに表示されるとともに、専用のスマホを介してクラウドサービスにデータが送信される。田畑ごとに収穫量や食味がビジュアルでデータ分析できるような仕組みになっている。

 これらのデータが蓄積されることで、次の作付けの際に、田植機やトラクタでどの程度の肥料を投下すればコメの収穫量や味を向上させることができるかといった、PDCAサイクルによる「カイゼン」を実現できる。

村澤典知

村澤典知

インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員。一橋大学経済学部卒。トヨタ自動車のグローバル調達本部では、調達コスト削減の推進・実行を中心に、新興国市場での調達基盤の構築、大手サプライヤの収益改善の支援に従事。博報堂コンサルティングでは、消費財・教育・通販・ハイテク・インフラなどのクライアントを担当し、全社戦略、中長期戦略、マーケティング改革、新規事業開発、新商品開発の導入等のプロジェクトに従事。A.T.カーニーでは、消費財・外食・自動車・総合商社・不動産・製薬業界などの日本を代表する企業のグローバル成長戦略、中期経営計画、マーケティング改革(特にデジタル領域)、M&A、組織デザイン、コスト構造改革等のプロジェクトに従事。2014年より現職。大手メーカーや小売、メディア企業に対し、データ利活用による成長戦略やオムニチャネル化、新規事業開発に関する戦略策定から実行までの支援を実施。


株式会社インテグレート

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