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桃田健史「クルマ“周辺”」

中国、クルマが売れない!政府が販売台数制限、経済急失速と株価低迷が直撃

文=桃田健史/ジャーナリスト
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中国、クルマが売れない!政府が販売台数制限、経済急失速と株価低迷が直撃の画像1北京中心部の繁華街・王府井

「これから先、中国市場はどうなるのでしょうか?」

 ここ1~2カ月、自動車業界や金融業界から、筆者への問い合わせが増えている。中国汽車工業協会の発表によると、2015年5月期の自動車の生産総数と販売総数はそれぞれ167万6900台と160万9300台だ。これは前月比でそれぞれ4.4%減、3.6%減となった。1~5月期の累積でも、市場の成長が大幅に減速していることが明白となった。

 こうした市場の冷え込みの理由について、5月と6月に上海と北京の現地取材をした際、地元の自動車業界関係者らは「庶民の株式投資が過熱していた中、株式市場が低調となり、自動車の購買意欲が薄れているからだ」と説明した。

 確かに、中国庶民の株式投資の熱狂ぶりは、日本人から見ると“度が過ぎる”状態が続いてきた。「仕事中、中国人従業員たちはスマートフォンや会社のパソコンを使い、当たり前のような顔で株取引をやっているため、日常業務に支障を来している。本当に困っている」(複数の在中日系企業関係者)という声が多く聞かれた。

 1990年代から00年代にかけて経済成長が続く中国では、車は豊かな生活を送るための“憧れ”であり、同時に“資産”でもあった。そうした考えが、00年代後半から10年代に入ると、沿岸部大都市の北京、上海、広州等で徐々に薄れていき、資産は不動産、さらに株にシフトしていった。その結果、多くの中国人が車に対して“ベストバリュー”を求めるようになった。

 そうした中、多様な目的を1台で満喫できる“オールインワン”型のSUV(スポーツ用多目的車)の販売比率が急激に上がっている。セダンが主体だった中国市場の変化に、日系メーカー各社は慌てて後追いしている状況だ。

過剰な多ブランド化とディーラー拡大

 中国の富裕層には、学生時代にアメリカに留学し、企業人や政府関係者としてアメリカ本土での駐在を経験した人が多いため、中国にもアメリカンライフを持ち込む傾向がある。それは、車選びにも反映される。

 一方、中国の自動車業界では「ヨーロッパの技術を見習え」との意識が強く、部品サプライヤーではドイツ勢の影響力が大きい。

 さらに自動車産業を投資案件として見れば、中国地場メーカーは日米欧韓との株式出資比率50:50による合弁事業を基盤として、独自ブランドの構築を進めている。

桃田健史/ジャーナリスト

桃田健史/ジャーナリスト

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。
ジャーナリスト 桃田健史 オフィシャルサイト

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