お盆のパチンコは勝てる!? 時間が経つのを忘れてまで見続けた実戦
今回はお盆のパチンコの思い出をお話したい。
いったいどういった事情によるものか、その当時は見当もつかなかったが、我が家のお盆における帰省先はもっぱら父方の実家であった。しかも、父方の実家から母方の実家まで1県挟んで向こう側なのにもかかわらず、母方の実家にはめったに寄り付こうともしない。
そもそも私が小学生時分の頃は関東圏に住んでおり、関西の片田舎にある「実家」へ帰省するのは一大イベントであった。それならばついでに両家に足を向けようと考えそうなものなのであるが、10年に1回くらいのサイクルでしか母方の実家には赴かなったのである。
そんな疎遠な母方の実家であるから、たまに行ってもひどく居場所がないのである。同い年の従兄弟がいるのだが、そんな感じだし、もともと人付き合いの悪い私は妙な照れもあり、「ああ、うん、まあ」といった風の対応をしては余計に居場所をなくすのであった。
そうなると、家でやることもないので外に出る。スマホではなく携帯なんてものが、世には流通していたが、私は所有することはなかった。所有していたところで、今とは違い暇を潰せる機能も何もないのであるが。
さて、いい歳した青年がやることがないといって外に出てやることといえばパチンコしかないのである。幸い、母方の実家は開けていた。いや、開けていたとはいっても父方のそれと比較するとの話であり、世間一般的には「ド田舎」なのである。
父方の実家は絶望的に何もなく、することといえば川で泳いだり近所にある廃校のグラウンドと呼ぶのが憚られるほどのちょっとしたスペースでボール遊びをしたりするのが精いっぱい。
それと比べれば母方の実家は天国である。徒歩圏内に商店もある。かくして、私は最寄りの駅の近くにある古ぼけたパチンコ屋を目指すこととなった。
ホールに入ると寂れ感がエグいのである。当時も昔の話とはいえ、私が住んでいたあたりのパチンコ屋は洒落た外観に改装したり、最新の設備を導入したりと、板張り・丸椅子・100円玉貸機のような風景は過去のものになりつつあった。
時を忘れたのだろうか、それとも時代に取り残されたのだろうか、板張りの床はところどころ油でテカっている。電気代をケチっているのか、薄暗い店内の奥へと足を進めると、老人たちが和気藹々とパチンコに勤しんでいる。その憩いの場となっているシマで楽しそうに世間話をしているオヤジ店員が私に向けた目はひどく尖っていた。
私は設置機種を確認するためにシマを巡回してみるが、珍しいのかそれとも古臭いだけなのか判然としない機種が並んでいる。希少価値には興味があっても歴史価値には関心がなかったのである。
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